年間プランに「月あたりの金額」を併記したら選択率が1.5倍に。カイゼンは「入口とCV直前」の数値が動きやすい。「NewsPicks」に聞くABテスト5つの成功施策。

2023年12月11日 |
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※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2023年8月30日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n9d6044b9de38

経済ニュースアプリの「NewsPicks」さんを取材しました。

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株式会社ユーザベース NewsPicks事業 執行役員 CTO/CPO 文字 拓郎さん、エンジニア 桐畑 数寿さん

「NewsPicks」について教えてください。

文字:
NewsPicksは、「新しい視点を集めて、経済の未来をひらく」というミッションを掲げている、ソーシャル経済メディアです。

2013年からサービスを開始。会員数は約870万人、有料会員数(サブスク)は約19万人に到達しています

運営の指標としては、週間のアクティブユーザー(WAU)、1ユーザーあたりの収益性(LTV)、売上(MRR+広告)の3つを主に追っています。

アクティブユーザーを週毎に見るのは、やはり「ニュースメディア」なので、最低でも週1回は見てもらえるようにしたいからです。

実際に、NewsPicksに「最低でも週2回」は来てくれる人は、翌週以降もすごくアクティブになりやすい、ということがわかっています。

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NewsPicksでは「カイゼン報告」も定期的に公開されていますが、どのようにプロダクトを改善しているのでしょう?

文字:
カンパニーミッションである「新しい視点を集めて、経済の未来をひらく」をベースにして、プロダクトを改善しています。

NewsPicksでは「いろいろな視点」を提供して、ユーザーさんに「この視点に出会えて良かったな」と思ってもらえる体験を増やすことで、より価値の高いサービスをつくれると考えています。

いろいろな視点というのは、キュレーションしているニュース、オリジナルのコンテンツ、コンテンツに紐付くコメント、といったものですね。

そのユーザー体験を強化する図を、グロースサイクルとして可視化していて、このサイクルに沿って価値を高めています。

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NewsPicksには、わりとエンジニアがプロダクトの改善アイディアを出して、開発してABテストなどの分析までやる、という文化があります。

これを我々は「全員プロダクト開発エンジニア」と呼んでいます。ユーザーに価値を届けることを重視して、そのために自分が良いと思ったことはなんでもやる、という文化です。

単に開発するだけでなく、自ら企画提案や運用なども担当して「プロダクトの成長にコミットしたい」という考えの人が初期から多かったんですね。

実際に、お問い合わせの対応や動画配信も、エンジニアが中心になって担当していますし、ユーザーインタビューに同席する人も多いです。

今でもエンジニアが所属しているチームは、エンジニアチームではなくて「プロダクトチーム」と呼ぶようにもしています。

もちろん、プロダクトマネージャーもいて、中長期の視点からプロダクトを改善していく動きを、主に担ってもらっています。

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成功施策①:『年割のプランに「月あたりの金額」を併記したら選択率が1.5倍に』

桐畑:
サブスクの月額と年割のプランを「月あたりの金額」で揃えて説明するようにしたところ、年割の選択率が最大で1.5倍になりました。

施策前は、月額プランの加入後に年割プランに変更されている方が多くて、はじめに「年割プランのお得度」(年割プランは2割ほどお得)がきちんと伝えられていないのではないか、と仮説を立てたんですね。

そこで、もともと年割プランは「年間で¥15,800です」のように表記していたのですが、比較しやすいように「月あたりの金額」も併記しました。

同じ内容を伝えるときでも、基準を揃えて「プランの比較検討」をしやすくすると結果が大きく変わる、というのが学びでした。

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成功施策②:『オンボーディングで「プレミアムの認知」を高めたら課金数が1.1倍に』

桐畑:
NewsPicksの初期画面に「プレミアム無料体験をはじめる」というボタンを置いたところ、開始5日以内での課金数が1.1倍になりました。

以前の画面では、ただ「すぐに利用する」というボタンを置いていたので、サブスクの存在に気づいていない人も多かったんですね。

デザインとしても、なるべく「ボタンの選択」に集中できるように、全画面型のデザインにしたのも良かったかもしれません。

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文字:
当時は「収益性を上げること」を課題に置いていました。LTVの主な構成要素は、アクティブユーザーの継続率、課金率、解約率の3つです。

継続率って「本質的なユーザーの体験価値」を高めないと中々上がらないのですが、課金率と解約率は「どう伝えるか」によっても変えられます。

ファネル内で数字が動きやすいのは「はじめの入口」と「コンバージョンの直前」です。初期画面はユーザーにとっての「入口」ですよね。

なので、全てのユーザーが通る「入口」を改善することは、成果にも繋がりやすかったのだと思います。

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成功施策③:『どんなプッシュ通知が届くかを事前に伝えたら許諾率1.5倍に』

桐畑:
オンボーディングで、プッシュ通知を許諾してもらう直前に「何を届けるのか」を説明したところ、通知の許諾率が1.5倍に増加しました。

具体的には、通知の許諾画面の前に、「いま読むべき経済ニュースをお届けします」という感じで、スライドで内容を伝えるようにしたんですね。

許諾ダイアログを表示するだけではなく、通知の内容を知ってもらうステップを用意するだけでも、大きく反応率が変わるのだなと。

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成功施策④:『解約ページで「再契約時の価格」を伝えたら解約率が緩和』

桐畑:
サブスクの解約画面において、解約後に再契約すると「値上がりしてしまうこと」を伝えるようにすると、解約防止率が1.8倍になりました。

NewsPickでは、何度か価格の見直しをしていますが、既存ユーザーの価格は現状据え置きにしていたので、解約すると価格が変わってしまう方がいました。

そこで、プランが値上がりしたことと、再契約だと値段が変わってしまうことを伝えるようにしたところ、解約率にも変化が出ました。

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成功施策⑤:『月額と年割を「並列で表示」したら年割プランの選択率が3倍に』

桐畑:
サブスクのプラン選択画面で、月額と年割のプランを並列して表示するようにすると、年割プランの選択率が3倍以上になりました。

これは、NewsPicks史上でも「最も効果があったABテスト施策」と言えるくらいに大きな成果につながりました。

当初は、月額プランを大きく表示して、下のほうに「年割はこちら」と小さく表記していたので、年割があまり認知されていなかったんです。

これは、あとから「年割プラン」が追加されたことで、その名残で導線が奥まったところになってしまっていたんですね…。

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文字:
解約率を下げることは、LTVの改善にも大きく影響します。そのためには、いかに「長期割をつかってもらうか」という視点も重要です。

実際にNewsPicksでも、年割プランは月額プランより「平均的な購読期間」は長くなる傾向にあり、その分だけLTVも伸びやすくなります。

NewsPicksは、長くつかってくださるお客様も多くて、個人の会員でいうと月額と年割は「同じくらいの比率」になってきていますね。

最近になって「3年割」というお得な長期プランもつくったのですが、これもどんどんお申し込みが増えています。

失敗事例①:『クレカ決済画面で「カード名義」を削ったら入力率が微減』

桐畑:
クレジットカードの登録画面で「カード名義」を削って入力項目を減らしたところ、入力率が微減(ほぼ同等)したことがありました。

クレジットカードは「カード名義」がなくても決済できるので、入力項目を少なくしたほうが利便性が上がるのではないかと考えたんです。

でも実際は「カード名義の項目がない」となると、なんだか怪しいサイトのように感じられて、不信感を与える原因になってしまったのかなと。

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失敗事例②:『動画の再生開始までを「5秒→1秒」に短縮したが課金数に影響なし』

桐畑:
NewsPicksの、オリジナルの動画コンテンツにおいて、動画の再生開始までの時間を速くしたのですが、課金数には影響がありませんでした。

再生までの時間を「5秒→1秒」まで高速化して、5秒と1秒の状態のユーザーで検証したのですが、サブスクの転換率に影響はなかったです。

※ 動画コンテンツは、一定時間までは無料で視聴できるが、そこを過ぎるとサブスクの登録が必要。

ユーザー分析でわかった 『動画を音声化することで「ながら聞き」している層』

文字:
NewsPicksには「動画のヘビーユーザー」が多くいらっしゃって、この層は動画をダウンロードしている人の割合がとても高いんです。

なぜかというと、長い動画を見続けることは大変なので、ダウンロードして音声で「ながら聞き」をしているんですね

例えば、音声を聞きながら、トレーニングしたり、料理したり、通勤通学をしたりして、生活の中にコンテンツを取り入れている。

長尺の動画って隙間時間での視聴が難しくて、ユーザーの生活に中々入り込みにくいのですが、音声にすると入りやすくなるのだなと。ユーザーの生活シーンに沿った体験を提供していくのが、大事だと改めて感じました。

経済ニュースアプリの運営は『コンテンツとの連携も影響力が大きい』

文字:
NewsPicksの特徴は、コンテンツとテクノロジーを両方使っているサービスというところなので、コンテンツもセットで考えることを意識します。

少し前は、プロダクト側とコンテンツ側の連動がやや弱くなっていたため、より連動しやすい体制にしました。今はユーザー体験が売上に直結する課金事業を、私と元編集長が一緒になって管掌しており、組織の連携を深めています。

例えば、NewsPicksの「話題をまとめ読み」というコーナーは、そうした取り組みから出来たものですが、実際にこれを出してから継続率もかなり上がりましたね。

社内のコンテンツクリエイターと、「ニュースをタイムライン的にまとめたら価値があるのでは」と議論しながらつくりました。このようなプロダクトとコンテンツの連携はとても重要だなと感じます。

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【取材協力】
株式会社ユーザベース:https://www.uzabase.com/jp/
NewsPicks:https://newspicks.com/about/

【告知】NewsPicksさんでは、各事業でエンジニアも採用募集中。エンジニアが「企画・開発・分析まで」プロダクト運営に関わる文化が強いそう。ご興味あれば下記のサイトからご覧ください。

https://tech.newspicks.com/

※続きのマニアックな事例は6つほど、note購読者向けにまとめています。サブスクの「トライアル突破率」を改善した施策、サブスクユーザーの「通知の許諾率」を改善した工夫、価格変更時に気をつけるべきポイント、などご興味あればご覧ください。

https://markelabo.com/n/n9d6044b9de38

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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