2017年に、若いスマホユーザーを中心にインタビューして、印象的だったユーザー行動やトレンドなどを9つまとめました。
<目次>
1、メルカリの「シェア倉庫化」すぐ買ってすぐ売る
2、インスタ検索の高度化「バイト先・気温を調べる」
3、インスタの価値は「写真を撮るまで」も含めた体験
4、インスタ女子による「インスタ疲れ」とストーリーの浸透
5、YouTuberが信用できるのは「芸能人ではなく友達だから」
6、中国アプリの独自進化
7、テクノロジーによる「国境や縛りのちょい溶け」
8、動画コンテンツが破壊する「言葉のカベ」
9、ジャンルや用途による「検索の分散化」
※全体を正確に調査したものではありません、あくまで参考までにご覧ください。
1、メルカリの「シェア倉庫化」すぐ買ってすぐ売る
メルカリなどの「フリマアプリ」を高度につかいこなす人を、多くみかけるようになりました。
たとえば、教科書やハロウィン衣装は、多くの人が「必要なときに買って売る」を繰り返すため、メルカリ内で商品がグルグルと回っているようです。
言い換えると「価値が下がりにくく、瞬発的にニーズが発生するモノ」を、メルカリを通じてみんなでシェアしている、という感じでしょうか。
中には、教科書には書き込みをしないなど、「メルカリで高く売ること」まで考えて、モノをつかうようになっている人もいるほど。
こうした、メルカリが「シェア倉庫」のようにつかわれるケースが、増えていると感じました。売上から手数料が引かれる仕組みもとっつきやすい。
また、ある大学生はお店で「流行りの服」を新品で買ってきて、メルカリで「流行が終わる前」にすぐに売ってしまうのだそうです。
そうすることで、自分の心を満たしつつ「後から流行りにのってきた子」に高く売ることができて、実質的に安く洋服を着ることができるから。
流行にビンカンであることで、経済的にトクするようになっている、というのがちょっとおもしろいなと感じました。
2、インスタ検索の高度化「バイト先の候補・気温を調べる」
最近は「インスタで検索する」というのも、当たり前になりつつありますが、なかでも興味深いつかい方をする人も出てきています。
例えば、インスタで「地名の検索」をして、リアルタイム投稿された自撮りの服装から「今日の気温や天気」を判定して服装を決める人。
ほかにも、インスタで「店名の検索」をして、お店やそこで働いている人の「生の雰囲気」をみてから、バイト先を決めている大学生も。
まず、バイト募集サイトで条件をチェックして、インスタの写真から「自分が働いている姿」を想像して、良さそうだったら応募するのだそうです。
こうした使い方を見ていると、「1枚の写真」からわかることの多さや、生の写真で「本当の姿をみたい」というニーズが伝わってきます。
3、インスタの価値は「写真を撮るまで」の過程も含めたユーザー体験である
すっかり「インスタ映え」という言葉が定着しましたが、ある10代の学生の方がこんな話をしてくれて、とても納得したことがありました。
インスタに「おしゃれな写真」をあげていいねをもらう。これもたしかにインスタだけど「写真を撮るまで」もインスタなんだよ、と。
つまり、友達と「どこに行こうか?」と話し合ったり、「どうしたら可愛く撮れるか?」と悩んだりすることも、インスタ体験の一部であると。
なんとなく、おしゃれなモノを撮るのが「インスタなんでしょ?」と思いがちですが、オフライン体験やコミュニケーションも含めて、ユーザーはたのしんでいるのだなと学びました。
4、インスタ女子による「インスタ疲れ」とストーリーの浸透
インスタが流行った一方で、最近は「インスタ投稿」に疲れてしまって、消える投稿「ストーリー」しかつかわない人が増えていると感じます。
これまでのインスタ投稿には、ステキな写真へのハードル、いいねしないといけない空気、記録に残ることへの躊躇など、隠れたストレスがありました。
それを自ら破壊したのがストーリー。これはタップしていくだけで、瞬間的にコンテンツを消費できるため、見るほうも上げるほうも快適です。
(あえて例えるなら、写真と動画だけの「消えるツイッター」(いいねやリツイートもなし)というイメージでしょうか…)
もはや、これに慣れすぎて「タイムラインをスクロールするのさえ疲れる」と感じる人までいます。
また、とても興味深いのが、ストーリーが「コミュニケーションの起点」になったことで、LINEをつかわなくなった人が出現してること。
どうしてかというと、ストーリーにコメントすると「インスタのDM」に記録されるので、その流れでインスタで会話を続けてしまうから。
ツイッターがインスタに「キラキラ成分」を吸われたと思ったら、LINEの領域に「インスタDM」が食い込んできたりと、流れがとにかくはやい。
もはや、1年経つと「あれ…もう元号が変わってる?」くらいの速度で、時代が変化してくのを感じます。
5、YouTuberが信用できるのは「芸能人ではなく友達だから」
YouTuberの勢いもすさまじく「ヒトのブランド化」が進んでいると感じます。分野ごとに「この人が言うなら」という人が出ている。
最近、1,000円以下の「激安コスメ」が流行っているのも、ヒトが起点になって「この人が言うなら」と信用して買われているから。
たとえば、メイク系だと「みきぽん、ゆうこす、関根理沙」の動画で紹介されたコスメは、店舗でピンポイントで売り切れたりもするそう。
ほかにも、メルカリで「みきぽん 愛用」と検索してコスメを買うなど、その人に使用されることが「信頼の証」のようになっています。
芸能人とYouTuberの違いは、日々の動画を通じて、人間としての「悩みや共通点」までも可視化されて、心の距離が近くなっている点。
なので、感覚としては芸能人よりも「友達」に近くなるのだと。信頼できる「メイクに詳しい友達」の話を聞いて、コスメを買うような感覚なのかもしれません。
6、中国アプリの独自進化
中国のアプリやトレンドも、独自に進化しているものが多くておもしろいです。
生放送しながら商品を売る「ライブコマース」では、チャットでコミュニケーションしながら、出演者が次々に「生着替え」していくものも。
これは、身長と体重もボードに表記されるため、着たときの雰囲気を想像しながら(バーチャルな試着体験)洋服を買うことができるそう。
ほかにも、WiFiパスワードのシェアアプリ、友達からアプリが落とせる転送アプリなど、日本にはないアプリもたくさん出てきています。
7、テクノロジーによる「国境や縛りのちょい溶け」
まだまだ主流ではないものの、未来を感じさせるアプリの活用法も、ちょこちょこと見かけます。
たとえば、ビットコインとインスタをつかった「越境フリマ」のような使い方。これは国をまたいで限定グッズなどを売買するというもの。
簡単なやりとりなので「グーグル翻訳」で問題ないし、海外への送金も「ビットコインで支払い」をすればラクに送金できてしまう と(値動き激しいうちはキツそうだが…)
また、インスタのタグを通じて「ファン同士」で取引するため、転売よりも「良心的な売買が行いやすい」という特徴もおもしろいですね。
ほかには、LINEの通話を1日12時間つなげっぱなしにして、「リモート同棲」のようなことをしているカップルも印象的でした。
通話しっぱなしで寝落ちしたり、音声と文字で会話したり、ビデオ通話で一緒に料理つくったり、まるでVRのように活用しているそうです。
8、動画コンテンツが破壊する「言葉のカベ」
様々なジャンルで「動画コンテンツ」が広がっていますが、動画になると「言葉による知識」がそこまで必要なくなるのがおもしろいなと思います。
たとえば、文字のレシピだと「小口切りにして、50グラムはかって、キツネ色になったら」と言葉の意味を理解する必要がありますが、
動画のレシピだと「こう切って、こうしてこうして、こうすれば完成!」という感じで、ざっくり真似すれば料理がつくることができます。
また、C CHANNELの「ヘアアレンジ動画」も同じように、動画で見たまんまを真似すれば、簡単にアレンジできるのがウケています。
(イメージ的には、「折り紙のおり方」や「あやとりのやり方」を言葉で説明するのはむずかしい、という話に近いかもしれません)
という感じで、動画になることで「言葉による知識」がそこまで必要なくなり、学習のコストと実行のハードルが下がるという点は、興味深いなと思いました。
動画コンテンツは、文字と違って「共有消費しやすいフォーマット」であるため、コミュニケーションに溶けやすいのも特徴的です。
友達と会話をしながら「これ見た?」「これ見てみて」「これ見よう」と、スマホ動画を一緒に見ている人も多いのではないでしょうか。
9、ジャンルや用途による「検索の分散化」
ヤフーやグーグルなどの「検索エンジン」を経由せずに、いろんなアプリから情報を検索する人が、どんどん増えていると感じます。
たとえば、NewsPicksで「企業ニュース」を検索する大学生。就活で行きたい会社を検索して、偉い人のコメントを読んで参考にするそう。
グーグル検索で「リクルート」など企業名を入れても、企業ニュース以外も出てきてしまうため、このようにつかっているとのこと。
グーグルにも「ニュース検索」はありますが、時系列でニュースを遡ったり、コメントも見たいとなると、NewsPicksの利便性が勝つのだと思います。
ほかには、グーグルや楽天の検索だと「テンションが上がらない」ため、水着などはインスタで検索しているという人を発見しました。
グーグルだと「安っぽくみえてしまう」そうですが、インスタだと「かわいい女の子が、かわいく撮った写真」だから欲しくなるのだそう。
そういった、ビジュアルでみながら「自分に似合うかな?」「着たらこんな感じかな?」と、妄想の検索エンジンとして使えるのは、インスタの強烈な強みだと感じます。
本記事は、noteで配信している「月刊アプリマーケティング」より、ピックアップしてお送りいたしました。もしスマホユーザーのトレンドなど、追いかけたい方は、本編もチェックしてみてください。
月刊アプリマーケティング
https://note.mu/marketing/m/mc375c9b46464
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