アプリの収入(86万円)で新車を買いました。子育て母ちゃんがコタツで開発した「授乳タイマーアプリ」1.5万ダウンロードでも収益をあげられた理由。

2017年04月24日 |
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アプリを夫婦でつくっているモコロジーさん(島根県 松江市)にお話を聞きました。


※モコロジー 坂原夫妻。

モコロジーさんについて教えてください。

坂原(夫):
モコロジーとしてのアプリ開発は、趣味のような形でやっています。夫婦ともに本業があって、お昼はそれぞれの会社で働いていて。

また、これまでは私一人でアプリを開発していたのですが、昨年リリースした「Milk TIme」というアプリは妻が一人でつくったものです。

キッカケとしては、もともと妻はエンジニアなので、軽い気持ちで「アプリで副収入が得られたら、家で仕事ができて良いんじゃない?」という話をしたこと。

そうしたら、実際に「じゃあ、アプリをつくってみよう」ということになって、妻のアプリ開発がスタートしました。

※【お昼の本業】 旦那さん:WEB/アプリの開発会社でエンジニアとして働いている。 奥さん:システム開発会社でエンジニアとして働いている。

奥さんはどうして「Milk Time」(授乳タイマーアプリ)をつくろうと考えたのですか?

坂原(妻):
もともと、わたしも子育てをしているときに「授乳タイマーアプリ」をつかっていたのですが、わりと改善してほしい点があったんですよ。

それで「自分がつかったら便利だ」と思える、授乳タイマーアプリをつくろうと考えました。自分が欲しかったのもありますし、他の人もつかってくれるんじゃないかなと。

この「授乳の記録」って普通はノートとかに書くんでしょうか。

坂原(妻):
そうですね。病院から産後すぐに「育児手帳」を渡されて、そこに手書きで記録するんです。何時にミルクあげたとか、オムツ替えたとか。

でも、授乳とかオムツって夜中にもやるから、ノートだとつらいんですよ。暗い部屋で「ノートを開いて書く」ってなかなか大変なので…。

だから、そういう意味では「授乳記録」って、アプリに適しているかなとは思いますね。スマホなら暗い中でも片手でサッと入力できるから。

アプリの開発はどうやって進めていたんですか?

坂原(妻):
当時は子育て中だったので、子供が寝てる30分間とかに、合間を縫ってアプリを開発していました。冬はリビングのコタツの上でやったり。笑

アプリをつくるのは初めてだったので、いろいろと勉強しながらでしたけどね。とくにデザインはやったこともなかったので苦労しました。

アプリのアイコンなんかも、デザインソフトの使い方を覚えつつ、手描きでつくったりもしました。


※コタツ開発中の奥さん。アプリの開発期間は1年くらい、開発工数的には2〜3ヶ月程度とのこと。

「Milk Time」を開発しているときに、こだわったところはありますか?

坂原(妻):
シンプルにつかえることです、機能を削って削ってシンプルにしました

けっこう他のアプリって「いろんな機能」がついているものが多くて。たとえば「授乳時間をグラフ表示」みたいな凝ったものとか。でも、そういうのは要らないかなって。

子育て中のママって本当に忙しいですし、きっと「授乳記録だけできる」みたいな、シンプルなアプリにした方が好まれると考えていました。

なるほど。

坂原(妻):
もうひとつは「授乳アラーム」が、アプリを起動していなくても、ちゃんと音で鳴るようにしました。

些細なことに思えるかもしれませんが、お母さんたちに「授乳の時間がきた」ときっちり知らせることは、ものすごく大事なことなので。

赤ちゃんを育てているときって、2〜3時間おきに授乳する必要があるのですが、産後って余裕がないから「いつミルクをあげたか」がわからなくなるんですよ。

だから、そこはきっちりアラーム音で知らせるようにしました。他のアプリだと「通知が飛んでくるだけ」とか「アプリを起動してないと音が鳴らない」というものも多かったので。

実際にアプリを公開してみて、ダウンロード数や収益的にはどんな感じですか?

坂原(夫):
2016年3月にリリースして、ダウンロード数としては14,500ダウンロードと、そこまで大きくないのですが、広告収入的にはどんどん良くなっています。

アプリの公開当初は、たったの月数百円だった広告収入が、ずっと右肩上がりで伸びてきていて、先月は15万8,000円の広告収入になっていました。

累計の広告収入だと86万円に届いています。もちろんこのアプリで稼いだお金は「妻の収入」になります。

ちなみに、奥さんはこのお金を何につかうんですか?

坂原(妻):
この前、軽自動車(新車)を買いました。毎月のアプリ収益を貯めて…あははは。笑


※ダウンロード比率は日本80%:海外20%(ほぼ中国)。英語と中国語にローカライズ(翻訳)している。最近は中国で「1日200DLくらい」されているそう。

アプリに載っけている広告って、画面下の「バナー広告」だけなんですか。

坂原(妻):
はい、広告はフッターバナーだけですね。全画面の広告とかって本当にうっとうしいので…そういうのは入れないようにしました。笑

あくまで、お母さんたちが「興味をもったらクリック」してもらえたら、という気持ちでこうしています。

でも、この「バナー広告だけ」と考えると、収入的にも好調な気がしますね。

坂原(夫):
そこは私もビックリしたのですが、授乳中ってどうやら「広告を見てもらいやすい時間」みたいなんですよ。実際に、広告のクリック率も1.5%ほど出ていて。

坂原(妻):
そうそう。授乳中って「授乳クッション」をつかうと、片手で授乳することができるので、もう片手はヒマになっちゃうんですよね。

だから、授乳中につかってもらえるアプリということで、広告を見てもらやすかったのかなと感じます。

それって「授乳中は隠れたスキマ時間だった」っていうことですよね?

坂原(妻):
そうだと思います。わたしも授乳しているときは、スマホの画面を見ているか、疲れて目をつぶっているかのどちらかでしたからね…。

テレビをつけてしまうと、赤ちゃんの気が散ってしまいますし、刺激を与えないように「ヒマつぶし」するには、スマホって便利なんですよ。

それから、授乳って回数も多いし、それなりに時間もかかる。1日に多いと7〜8回、1回で15〜30分かかりますから。そうすると、アプリを立ちあげる機会もふえる。

あと、広告に関しても「母乳がでるお茶」とか、ターゲットが絞られている分、お母さんたちの興味がありそうな広告が出ているので、クリックされやすいのかなあと。

とにかく、広告とつくったアプリの相性がよかった。狙ってやったわけじゃないので…運が良かったです。

坂原(夫):
純粋な「タイマーアプリ」だったら、広告なんて誰も見なかったと思うけど、授乳というシチュエーションに限ると、そうじゃなかったってことですよね。

ダンナさんからすると、今回の「Milk Time」の結果を見てみて、どんなことを感じますか?

坂原(夫):
一発目のアプリで結果につながっていて、うらやましい気持ちもありますし、一人でアプリを完成させたことにも感心していますね。

自分もこれまで5アプリを開発してきたのですが、それと比べても「Milk Time」が一番収益をあげたアプリになるので、単純にすごいなと思っています。


※旦那さんが開発したアプリ(総合ではDL数は「テンキくん」がトップ、収益は「Milk Time」がトップ)

「夫婦でアプリ開発する」からこそのメリットは何かありますか?

坂原(夫):
夫婦でやっていて良いのは「アプリへのフィードバック」がすぐにもらえることです。それも身内なのでまったく遠慮がない。ダメだったらダメだし、良かったら良いだし。

ただ、ケンカになることもあります。ウチも何回かケンカしていて。意見がストレートで厳しい分「そんなのできねえよ!」ってなりやすい。笑

でも、結局それって正論だから、実現することで「アプリが良くなる」のであれば、最終的には見直して改善するしかないんですけどね。

そういう正直な意見って、意外と他人からはもらえないと思いますし、身近な人からフィードバックをもらえるというのはメリットかなと。

今後はまた奥さんもアプリをつくっていくのでしょうか?

坂原(妻):
そうですね、何個かあったら収入も安定すると思いますし、またアプリはつくっていきたいです。

ただ、良いアイディアがなかなか思いつかなくて…。すでに似たようなものがあったり、どう差別化していくかが難しいものも多いんです。笑

だから、そこはよく考えながらですかね。「Milk Time」のように自分が経験したことで、「こういうアプリが欲しい」というのが、うまく見つかるといいなと思います。

取材協力:モコロジー(Mocology)

Milk Time(AppStore/GooglePlay

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