「アプリをとりにいく」若い子はアプリの所有感覚が強い。月500万人がつかう「チケットキャンプ」がアプリシフトを急ピッチで進めてきた理由。

2016年02月10日 |
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「チケットキャンプ」を運営しているフンザさんにお話を伺いました。株式会社フンザは2015年3月よりミクシィの子会社になっています。

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※株式会社フンザ 代表取締役 笹森良さん。チケットキャンプは25名(うち開発は5名)で運営している。

チケットキャンプについて。

「チケットキャンプ」について教えてください。

チケットを個人が売買できるアプリです、2013年にブラウザからスタートして、現在はアプリへシフトをしつつ、ブラウザとアプリで展開しています。

現在の利用者は月500万人(全デバイス合計)です、スマホかPCかという意味では、8割がスマホ(アプリ+WEB)です。

アプリのダウンロード数は公開していないのですが、3ケタ万(100万ダウンロード以上)にはなっています。2015年初めはアプリ経由の取引比率が15%でしたが、いまは50%超えていますね。

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ビジネスモデルについて教えてください。

基本的には手数料ビジネスです、チケットを売買するときの手数料で成り立っています。広告(アドネットワーク)も入れているのですが、全体からすると割合はごく僅かですね。

昨年12月の話ですが、流通額(チケットキャンプ上の総取引額)としては月次で36億円となっていて、一応「チケット売買サービス」では、国内最大級の規模になっています。

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今年「アプリへのシフト」を進めてきたとのことですが、どういう意図があったのでしょう?

一言でいうと「アプリを使ってもらうのが重要だな」と思ったからです。中でもアプリは「ブランド意識につながる」というのが大きくて。

検索エンジンから「たまたまヒットして」やってきたユーザーと、アプリから「チケットキャンプを開こう」とやってきたユーザーは、同じ1ユーザーでも「ブランド意識」が大きく違います。

わかりやすいのが、最近の若い子って「アプリをとる」「アプリをとりにいく」という言い方をするんですよ。つまり、アプリの場合「所有する」という感覚が強いわけです。

実際に、アプリのほうがリピートしやすいし、他サービスへの乗り換えも起こりにくい。「アプリはマス広告(テレビCMなど)と相性が良い」というのも、この辺りがひとつの理由です。

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実際にデータ上で見てもそうなんでしょうか?

はい。アプリとブラウザで「ユーザーの動き」を数値化すると、圧倒的にアプリのほうが良い結果がでますね。リピート率、年間の購買回数、購入の頻度など、ほぼすべてにおいて。

なので、ブラウザのユーザーを、アプリに誘導する施策も、いろいろやってきています。例えば、わかりやすいものだと、アプリ経由だと「手数料」をキャンペーンで安くしたり。

「チケットキャンプ」特有の機能について。

どうして、ここまでサービスを伸ばすことができたと感じますか?

「ブランド認知」がうまくいったからかなと考えています。例えば、おいしいご飯をつくりたいと思ったら「クックパッド」、パソコンを安く買いたいなら「カカクコム」を見ますよね。

でも「チケットが余った」「チケットが欲しい」と思った時に、「これだ」って純粋想起するようなサービスがまだなかったんです。そこにうまくアプローチできたのではないかなと。

とにかくユーザーさんが「これ半端ねえ!」と思ってくれるように、最高の「チケットの購買体験」を提供するために、ひとつひとつ改善を重ねてきました。

なるほど。いくつか「具体的な施策」を教えていただけますか?

例えば「ピタチケ」という機能です。これは当初からあった「売ります(出品)」「買います(リクエスト)」から、さらに発展させた機能です。

例えば、あるユーザーが「5,000円でこのチケットが欲しい」とリクエストしたとします。

そして数日後、同じ公演が5,500円で出品されたとき、そのユーザーに「あと希望価格に+500円すると、今すぐチケットが手に入るよ」とリアルタイムで通知します。

この「ピタチケ」の実装後は、ユーザーのチケット購入率に、とくに良い影響が出ました。

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※アプリはプッシュ、ブラウザはメールでお知らせする。

なるほど、おもしろいですね。

あとは「ラスチケ」という機能。これは「検討しているけれど、まだ決めかねている」という潜在ユーザーに対して、チケットが「残り1枚」になった瞬間に、バッと通知をおくる仕組みです。

ただ、スパムにならないようには気をつけていて。「公演日までの期間」や「最終ログイン時間」などを元に、適切なタイミングで必要なユーザーにだけ、届くようにしています。

こうしたチューニングや最適化を続けてきた結果、1ユーザー(1DAU)あたりの決済率は、初期と比べて5倍以上になっています。

ライブ・チケット市場について。

そういえば、いま日本の「チケット市場」って伸びているんでしょうか?

そうですね。生で見るコンサートや演劇など「ライブ・エンターテインメント」の市場は伸びていまして。数字でいうと、ここ最近毎年2ケタ(10%)以上は成長しています。

これなぜかというと、僕は「SNSじゃないか?」と思っていて。みんなイケてることをして「いいね!」されたい。だからライブのような「希少な体験」に対してお金をつかっていると。

もうひとつは、日本人の「エンタメ偏差値」が高くなっていること。もう普通に「良い音でCDが聞ける」というレベルだと、物足りなくなっているのではないかなと。

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でも「同じイベント」なのに、どうしてここまで価格差が出るのでしょうか?

みんな「いい体験」を求めているからです。自分自身も経験してきたことですが、同じ公演でも前列席と後列席では、やっぱり「ユーザー体験」が、大きく違ってくるんです。

例えば、演劇などを見に行くと、俳優さんの表情や生声が、そのまま届く距離かどうか。そこ次第で、まったく違ったライブ体験になります。

もっというと、自分の母親に「誕生日に〜〜の劇が見たい」とお願いをされたとします。そのとき、間違いなく「一番良い席」で見せてあげたいじゃないですか。

それにも関わらず、多くの公演でチケットの価格は一律で売られているわけですね。

そのため、「最前列」と「後方席」のチケットが出品されていた場合、当然少しくらい高くても「最前列」を選ぶ。そういう価値観の人が増えていると感じます。

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ちなみに、海外ではどうなんでしょう?

アメリカの場合は、「ダイナミックプライス」と言うのですが、チケットの値段が「買うタイミング」によって、変わっていくような仕組みがありますね。

あと、大物アーティストのライブとかは、アーティスト本人に会うことができたり、楽屋に入ることができる付加価値をつけて、「プラチナシート」を販売していたり。

最後に、ミクシィに買収されて「良かったこと」を教えてください。

「社員の働くモチベーション」ですね。ようやく「期待される労働環境、福利厚生」が提供できるようになりました。

もともと、2013年3月に自己資金で起業をして、資金調達もしなかったので、キャッシュに対してすごくビビっていたんです。その不安が解消されたのは良かったです。

最近、いきなりオフィスにお金をかけるスタートアップって多いですよね。僕は「プロダクトの成長」「ビジネスモデルの確立」の前に、そういう部分にお金をかけるのは反対です。

取材協力:株式会社フンザ

チケットキャンプ
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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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