地道に「ユーザーの声」を聞き続けて、App Store「Best of 2015」受賞へ。カレンダー共有アプリ「TimeTree」が語るユーザー対話のコツ。

2016年01月05日 |
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今回はカレンダー共有アプリ「TimeTree」さんにお話を伺いました。2015年のリリースでまったく注目されなかったところから「App Store Best of 2015 今年のベスト」受賞まで到達できた秘訣は?

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※JUBILEE WORKS CEO 深川泰斗さん。「TimeTree」は現在9名(エンジニア5名)で運営している。

TimeTreeについて

「TimeTree」について教えてください。

予定を複数人で共有できる「カレンダー共有アプリ」です。イメージとしては「LINEグループのカレンダー版」のような感じでしょうか。予定ごとにチャットルームで会話することもできます。

なので、ツールというよりは、コミュニケーションアプリですね。単純な「カレンダー」だと、他アプリにいつでもスイッチできてしまうので、この中に「人間関係」が構築されることを意識しています。

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ユーザーは順調に増えていますか?

2015年3月末にリリースしてから、現在ユーザーの伸び・定着率については好調です。

ダウンロード数は公開していないのですが、アクティブユーザーでいうと、ほとんどが日本ですね。海外ユーザー(中国、韓国、アメリカ等)は1〜2割くらいです。

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※13ヶ国語にローカライズしている。

なぜこのアプリをつくったのでしょうか?

「相手がいること」を前提とした、カレンダーサービスをつくりたかったんです。僕は元々カレンダーサービスのオタクみたいなもので、昔からすごく可能性を感じていました。

例えば、紙の手帳って「自分一人のためのもの」ですよね。だから「5人で遊びにいく予定」の日時が変更になったら、それぞれ手帳を書き直さないといけない。それって何か不自然だなと。

あと、この会社を立ち上げる前には、ヤフーで働いていたのですが、入社時も「ヤフーカレンダー」の企画がやりたくて、会社に入ったくらいでした。

リリースの時から好調だったんですか?

実は、リリース直後は、まったく誰にも注目されませんでした。メディアに「アプリをつくりました!」とプレスリリースを送っても、まったく取り上げてもらえなくて。

「駆け出しの会社のアプリだから、まあ話題にはしてもらえないだろう」とは思っていたものの、いざその現実に直面すると焦りが出てきました。

その日の夜は「ああ、どうしよう・・・」みたいな感じで、家の隅っこで床に突っ伏していたくらいです。

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そうだったんですか。

はい。ところがそれを見た妻が、その様子をツイッターでつぶやいてくれて。そのツイートがものすごく拡散(1週間で1万RT)されました。「こんなことがあるのか」とびっくりしましたね。

そこからは、週アスや日経MJで取り上げていただいたり、メールやツイッターでのフィードバックもたくさんいただきました。しばらくは、その返信をすることで精一杯でした。

ただ大変でしたけど、一通一通すべて返信していたんです。例えば「こういうことは出来ないんですか?」と言われたら、スクリーンショットに矢印をつけて「こうして下さい」と返したり。

ちなみに、対応が終わったものは「サービスのヘルプ」にも追加していったのですが、たった1週間でものすごく充実したヘルプができました。笑

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※1万RTされて「1万ダウンロード以上は増えた」とのこと。

大事なのは「期待を超える」こと。

そこからユーザーも伸びて、年末には「App Store Best of 2015」にも選ばれています。これまで「アプリ運営」で大事にしてきたことはなんですか?

チーム全体で「期待を超える」ということを大事にしています。これは「ユーザーが期待したことを超えているか?」(を自分たちに問いかける)ということなんですけど。

新しいアプリって、毎日山のようにでているじゃないですか。なので「すごく良くできたアプリ」というだけじゃ一瞬で忘れ去られる、という危機感がすごくあって。

だから「普通ではないこと」がないといけないなと。「なんでそこまでするんだ」「なんでそこまでこだわるんだ」といった飛び抜けたことですね。

具体的にはどんなことなんでしょう?

例えば「カスタマーサポート」に問い合わせをしたとします。その5分後に、テンプレじゃないメールが返って来たらびっくりしませんか。そういうことを、一生懸命にやっている感じです。

あとは、最近Android版に「ウィジェット機能」を実装したのですが、過去に「ウィジェットが欲しい」と問い合わせいただいた方には、個別に「実装しましたよ」とメールを送ったり。

なるほど。あと、ユーザーを呼んで「オフィスパーティー」などもやっていますよね。これはどうしてやっているのでしょうか?

お互いのことを知りたいんです。僕もユーザーさんのことを知りたいですし、ユーザー側としても運営の顔が見えたほうが安心できるんじゃないかなと。

なんでしょうね。「行きつけの定食屋」みたいにしたいんですよ。例えば、すごくうまいトンカツ屋があったとしても、無愛想にポンと出されるだけなら、熱心なファンにはならないじゃないですか。

そこを、ちゃんと「おもてなし」することで、「また来たよ!」「いつも来て下さってありがとう」という関係性を、しっかりつくりたいと考えているんです。

他にもユーザーさんとは、コミュニケーションをとっているんですか?

そうですね。よくコメントをくださる方は、Facebookグループ(現在30人ほど)に招待して、新機能をだすときに「この機能ってどう思いますか?」などと聞いて、意見をもらったり。

あと直接、話を聞きにいくこともありますね。例えば、よくお問い合わせをくれる方、ブログやツイッターで「TimeTree」のことを書いてくれた方には、連絡して会いにいったりもします。

「ユーザーの声」を聞くときに気をつけていることはありますか?

アプリを長くつかってくれている「ヘビーユーザー」と、アプリをまだ使い慣れていない「新規ユーザー」、この2種類のユーザーは「どっちの人なんだろう?」と意識する必要があります。

例えば「(ヘビーユーザーから)メモ機能が欲しい」という要望が多かったとします。これを機能として提供するかどうか、かなり慎重に議論します。

なぜなら、サービスに慣れている「ヘビーユーザー」にとっては良くても、「新規ユーザー」から見た時に「複雑な難しいアプリ」に映ってしまう可能性があるからです。

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ユーザーの話を聞いていて、ユーザーが「想定外の使い方」をしていることはありますか?

ありますね、今までにおもしろかった使い方が2つありまして。いずれもツイッターでTimeTreeについてのツイートを追っているうちにみつけたものです。

ひとつは、同人作家さんと思われる方々が、お互いに「締め切り」をTimeTreeに入れて励まし合っているのをみかけました。ダイエットと一緒で「いつまでにやる」と宣言して、やる気を出しているみたいです。

もうひとつは「ジャニーズファン」など、特定の何かが好きな人がツイッターで集まって、その芸能人の「テレビ出演」や「雑誌の発売日」を、ひとつのカレンダーにまとめているような使い方です。

その他の施策など。

「TimeTree」の運営で、うまくいった施策などはありますか?

すごく手応えがあったのは「ユーザーの使い方」を、インタビュー形式でページにまとめたことです。シンプルなアプリなので「どうつかうか?」を伝えることも大事でして。

例えば、ある方は「お子さんの学校のプリント」を、スマホで撮影して、締切日に貼りつけていて。その使い方をアプリ内で紹介したら「既存ユーザーの写真投稿数」がばーっと増えました。

あとは「バンドマンがメンバーの予定を共有するためにつかっている」という事例を載せたところ、「バンド内でつかっている」という声を、ツイッターでよく見かけるようになりました。

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なるほど、他にはありますか?

数字的に一番インパクトがあったのは「レビュー施策」です。ヘビーユーザーに絞って、レビューを書いてもらう施策をやってから、明らかに数字が安定するようになりました。

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※お知らせマークを「ハートマーク」に変え、タップすると「レビューお願い」のダイアログが出る。

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※Facebookの「いいね」をお願いするバージョンのダイアログも。

最後に「期待を超える」を続けてきて、良かったことを教えてください。

口コミされやすくなる点は、良かったと思います。自分自身をユーザーとして考えても、期待を超えた対応をされると「こんな対応をしてくれた、すごくない?」と、つい周りに話したくなりますよね。

僕も以前は「期待を超える」ができていませんでした。カスタマーサービス部署がまとめてくれた意見を見て「なるほどね、じゃあココ直そうか」みたいな感じで。そうなると、受け取る温度感が全然違います。

でも、それだけじゃダメなんですよね。いま思い出してみると、その頃の自分に説教しに行きたいです。笑

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取材協力:JUBILEE WORKS

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。有料マガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。【配信提携】LINEニュース【過去連載】週アスPLUS、マックピープル。アプリの取材申請はコチラのページから。
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