「ユーザー評価☆4.5と☆2ではダウンロード率が30%変わる」アプリ累計1,000万ダウンロード突破のNagisaが語るAppStoreのASO戦略。

2015年02月12日 |
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12月に開催した「AID×アプリマーケティング研究所 アプリ勉強会」より、Nagisaさんの講演をお届けします。「ユーザーレビューってダウンロード数にも大きく影響するんだよ」という話。

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※株式会社Nagisa CEO 横山佳幸さん(撮影:TechBuzz)

Nagisaについて

横山:
従業員46名のアプリをつくっている会社です。

いままで「Livre」「SLIDE MOVIES」「49人目の少女」など30アプリほどリリースしていて、単月でいうと70-100万ダウンロード、累計では1,000万ダウンロード突破しています。

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ASO戦略について

横山:
Nagisaでは「ASO戦略」を軸にしています。つまり「AppStoreやGooglePlayでキーワード検索された時に、自社アプリが表示される」ということにこだわっている。

実際にNagisaのアプリは、デイリーで10,000~15,000ユーザーを検索から獲得しています。例えば、App Store検索「日記」で1位のアプリ「Livre」はデイリー1,000~1,500ダウンロードされている。

最近、iPhoneでSafari検索をするとアプリがでてくるようになったように、今後も「スマホで何か検索すると、アプリがでてくる」ということが増えていくと考えています。

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ASO施策1:「レビュー数の最大化」

横山:
具体的にASOでこだわっているのは「レビュー数の最大化」と「評価の向上」、この2つです。

まず、「レビュー数の最大化」については、サービス設計時に「レビューしてもらいやすい仕掛け」を入れています。(レビューを書いてくれたら、インセンティブを付与するなど)

ASO施策2:「レビュー評価の向上」

横山:
「評価の向上」については「ユーザーの満足度が上がるタイミング」でレビュー催促を行っています。

また、「何回に1回だすか?」というのも重要で、例えば「動画を1回つくったタイミング」よりも「2回つくりおわったタイミング」のほうが、良い結果になったりもします。

バグによる低評価レビューで、ランキングが落下。

横山:
ユーザーレビューの影響は目に見えにくいですが、「☆4以上」と「☆2」ではダウンロードのコンバージョン率が20~30%は変わると考えています。

「SLIDE MOVIES」(250万DL)という動画作成アプリの実例でお話します。元々このアプリは、1日に4,000ダウンロードされていました。

ところが11/30のアップデートでバグが出てしまった、やらかしてしまったんですね。

それで、1,000近くあった☆の数がリセットされ(※AppStoreではアップデートするとレビューがリセットされる)、同時に☆2の悪いレビューがダーッとつき始めてしまったんです。

「これはやばい」と思って、12/12にアップデートをかけたんですけど、時すでに遅し。「写真カテゴリ」のランキングで23ランクほど落ちてしまいました。

つまり「☆が2~3になると、ユーザーに敬遠され、圧倒的にダウンロードが減る」ということを、身を以て体験しました。

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☆が1つ違うと、ダウンロード率が20~30%変わる。

横山:
ケースバイケースだとは思いますし、あくまでこのケースを基にした自社の推論ですが、☆4.5以上だとアプリページにきたユーザーの90%、3.5だと60~70%がダウンロードに至ると考えています。

そして、取りこぼしたユーザーは競合アプリに流れる。

というところで、特に☆3~3.5(4以下)のアプリは、レビューを向上させることで、ダウンロード数が伸ばせる可能性が高いです。

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「ユーザーへのレビュー依頼」のタイミングの最適化

横山:
「ユーザーへのレビュー依頼」の最適化の事例を「GOOD TIME」という動画作成アプリで説明します。

このアプリは、11月にリリースして、ノンプロモーションで約70万ダウンロード(iOSのみ)、レビュー数でいうと1,500、評価も☆5をキープしています。

なお同じ動画系アプリの「SlideMovies」からユーザーを流したところ、同ジャンルアプリ同士の送客がうまくいって、コンバージョン率も20~30%でていました。

それで、「最適化の手順」に関しては、まずアプリの画面遷移の中で「ユーザーが一番満足するポイントはどこか?」を探します

「GOOD TIME」の画面遷移は「動画撮影→音楽追加→(1)→動画作成完了→(2)→動画視聴→(3)→タイムライン→(4)→もう一回動画撮影」です。

「どの場所にレビューを出すのがベストか?」を、リリース1~3日目は(1)の箇所、3~6日目は(2)、6~10日目は(3)、9~12日(4)とレビュー依頼をだす場所を変えてみて、検証しました。

レビューのタイミングの調整については、自社で開発した「PoPAD」というシステムをつかっています、これは外部にもアドネットワーク機能と一緒に、無料で解放しています。

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検証結果

横山:
結果的としては(3)が「4.5以上の評価で、一番レビュー数も集まるポイント」のひとつだとわかりました。

ちなみに、「一番いい場所」と「一番悪い場所」で☆1つ分くらいの差が出ていました。レビュー数に関してもアプリのダウンロード数によるけれど、数百の差になることもある。

実際の「GOOD TIME」のキーワード順位としては、リリースから二ヶ月で「動画 加工」2位、「動画カメラ」1位、「動画」11位、「動画 撮影」2位、「ビデオ」8位などの良い結果がでています。

ASOでユーザーを獲得する、その他のメリット。

横山:
その他のメリットとしては、「ASOでユーザーが集まる仕組み」ができると、広告でのマネタイズがしやすいところです。

「1年間使っているユーザー」よりも「新しくきたユーザー」のほうが、直近の広告収益に貢献してくれる。なぜなら、広告に慣れていない分、広告に視線がいくし、クリックしてくれるから。

また、検索上位になると1日3,000ダウンロードされるキーワードもあって、これを仮に広告価値に換算すると「CPI200円×3,000DL=1日60万円(月1,800万円)」の集客効果になります。

今後の戦略について

横山:
今は「Platform on Platformの時代」です。まずApp StoreやGoogle Playがあって、その上にLINEやFacebookやTwitterなどの各アプリが乗っかっている。

という中で、僕らが意識しているのはASOで獲得したユーザーを軸に、プラットフォームをつくっていくこと。

今までASOを軸に1,000万ダウンロードまできた結果「ASOで獲得したユーザーはARPUが低い」ということもわかったので、(※ARPU=1ユーザーあたりの課金額)

今後は、収益化しやすいアプリジャンル(ニュース、ムービー、ゲーム、キュレーション、コミック、SNS)にも注力していこうと考えています。

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PoPADの告知。

横山:
「PoPAD」(無料)を使うことで、ユーザーにレビューをお願いする時の「タイミング」「文言(テキスト)」「頻度(何回に1回)」などを調整することができます。

これは、サーバーで管理する形なので、アプリをアップデートしなくても大丈夫です。

「バグが出たら、レビュー依頼を止める」という使い方もできますので、先ほどの「SlideMovies」の「バグがでる→悪いレビューがつく→ランキングが下がる」という悪循環を、止めることもできます。

また、Nagisaではエンジニアとデザイナーも募集していますので、ご興味あればご覧ください。

PoPAD:http://popad.jp/
Nagisa採用ページ:http://nagisa-inc.jp/recruit

会場からの質問

「Good Time」のレビューポップアップでは、「いいえ」を「断る」と表現しています。これは心理的に断りにくいように、あえてそうしている?

横山:
そうです、いろいろテストしてみた結果、やっぱり「絶対嫌」とか「断る」という文言は、心理的に押しにくいんですね。

ただ「絶対嫌!」のように露骨にやり過ぎると、レビューが書きにくくなったりするので、バランスは必要だと感じます。

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放置ゲームのプロモーションで「ブースト」を使うことがあると思いますが、最近は「ブーストの効果」はどうでしょうか?

横山:
ブーストについては、以前より効果が不安定だと感じます。うちもこの前、2~3万のブーストでAppStoreの総合100位までしか上がらなかったことがあります。

最近、AppStoreのランキング更新ロジックが不安定で、いままで19時に更新されていたのが、18時30分や、20時に更新されるようになりました。

弊社では「17時〜18時にダウンロード集中させて、19時に上位を狙うべき」と考えていますが、今はいろいろ試していますね。

Nagisaさんの放置ゲームで「ヒットするアプリ」と「ヒットしないアプリ」で共通点などはありますか?

井上(Nagisa):
これまで10本ほど放置ゲームをつくってきたのですが、結果的には3勝7敗でした。

ヒットした「ポリゴン娘」「49人目の少女」「オタクとリア充」の3つに共通しているのは、「わかりやすい設定」「コンセプトのシュールさ」「セリフのシュールさ」です。

うまくいかなかったアプリの例としては「ドMモンスター」です。出す前は「シュールでイケるんじゃないか」と考えていたのですが、結果的にダメでした。

おそらく「出オチ」のようになってしまうと放置ゲームはダメ。それよりも「このあと一体どうなっていくんだろう?」という感じのアプリのほうがうまくいきやすい。

「3勝7敗」で収益的には勝ち越せるのでしょうか?

横山:
「49人目の少女」が数千万円以上は稼いだので、全然大丈夫でしたね。他にも数百万円レベルは稼いだ放置ゲームがいくつかあります。

あと、放置ゲームって、テンプレート化してしまえば、2作目からの開発費は数十万円くらいでつくれますので、開発費がかからないところも良いですね。

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※「49人目の少女」のマネタイズの話は過去記事を参照。
2,000万円稼いだ!「49人目の少女」のNagisaが教える6大アプリ集客術。

取材協力:株式会社Nagisa

編集後記

ユーザーの評価はタイミングによっても変わり、それが最終的にダウンロード数(ダウンロード率、キーワードランキング)にも影響するという話でした。

↓「ユーザー評価はタイミング次第」は、わかりやすく言うとこういうことか。(変な例えですが)
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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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