アップデートより続編?100万ダウンロード超えアプリ「返信ください」続編のメリットは前作へのユーザー送客。Adtickerアプリセミナー

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2/21に東京(初台)で開催された、サムライ・インターナショナル株式会社主催のセミナー「究極のマネタイズ!?アプリの事業売却方法とグロースハック!」の参加レポート(その3)をお送りします。

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目次:
1、「ミリオンアプリの続編を出してみてわかったROI最大化のコツ」 byフルセイル
2、「韓国のスマートフォンマーケットの近況について」byアイジーエイワークス

1、「ヒットアプリは擦りまくれ!ミリオンアプリの続編を出してみてわかったROI最大化のコツ」 株式会社フルセイル 代表 有賀之和さん

フルセイルについて

元は株式会社ベーシックの一部署だったのですが、アプリ事業の子会社(株式会社フルセイル)として新設となりました。サービス展開は大きく分けて2つ。

1つ目が「あぷたま」というゲームアプリを中心にやってるブランドです。「返信ください」「どうぞどうぞ」など、累計1000万弱ダウンロード。2つ目がGAMEFEATというゲーム専用のCPI広告サービスをやっています。

「返信ください」について

「返信ください」というアプリをシリーズで3作、半年間で出しています。「返信ください」の内容としては、LINEみたいなメッセージアプリ風のカジュアルな恋愛ゲームで、架空のキャラからメッセージが届くので、それに対してうまくキャラの性格を読み取って返信して仲良くなるというゲームです。

第一作目は8月に出してAppStoreで無料総合2位、GooglePlayでは人気新着で1位。ダウンロード数は150万くらいです。

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アップデートしてキャラクターを追加。

それで良い結果が出たので、次はどうしようと考えていました。当初はアップデートしてキャラクターを追加して(20人⇒最終38人)いくことで継続率を上げようとした。

キャラを追加すると、ダウンロード数はぽこぽこと増えるのは間違いないのですが、新規でアプリをリリースした時に得られるユーザー数に比べると多くない。

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続編を出してみた。

それで、「続編を出してみるとどうなんだろう」と考えました。以下のようなことを考えて続編のリリースに至る。

まず、1作目がヒットしたときにつかんだ手ごたえからの収益性イメージ。(大体ダウンロードがどのくらいだと、DAU[デイリーのアクティブユーザー]がこのくらいで、利益がこのくらい出る)

そして、続編だとコンテンツだけを追加すればいいので開発費がかからない点、続編(新規アプリ)としてリリースすることで新規ユーザーもとりやすいというメリット、どのくらいでペイできるかが分かっているので集客コストが予め計算しやすい、そして次もいけそうだという感覚。

各3シリーズの比較。やっぱり続編を出すほどダウンロード数・最高順位などは落ちがち。

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「チョコください」のアイコンは2つありますが、これは当初、茶色いほうでいこうと思ったのですがAppleにリジェクトされてしまって。リジェクトの理由もよくわかりませんでした。

どうしてもバレンタインまでに出したかったので、当てずっぽうでピンクのほうにつくり変えたら、なぜかすんなり通ちゃった。

AppStoreランキング推移

AppStoreのランキングに関しても、
続編を出すほどすぐに下がってきやすいという結果でした。

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(※補足:これは続編アプリをだすとAppStoreの順位付けで不利になるということではなく、ユーザーが飽きてしまったりで、ブーストでランキングを上げたとしてもだんだん自然流入が減ってしまうという要因が大きいのかと思われる)

広告効果の変遷

各アプリのリワード広告でブーストして1週間でどのくらいのダウンロードが取れたかという数字。続編を出すほど、効率がどんどん落ちていってしまう。

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1作目の「返信ください(ノーマル)」と3作目の「チョコください(バレンタイン)」を比べると、3倍くらいブーストの効率が変わってしまった。ただ、いずれもブーストの費用は広告収益でペイできている。

今回の場合、ブーストの出向額に関してペイできる期間は、「返信ください」(ノーマル)で1日くらい、「返信ください(クリスマス)」が3日くらい、「チョコください(バレンタイン)」が4.5日くらいという結果でした。

(※補足これもブーストでランキングを上げても、ユーザーが飽きたりで、だんだん自然流入が減っていくのでブーストの獲得効率は落ちるよねという話)

どうやって鈍化に対抗するか

獲得効率が鈍化していくであろうことは分かっていたので、対抗策をいろいろ試しました。うまくいったのはコラボと、ソーシャルでのシェア施策です。

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クマトモというバンダイさんのアプリのキャラとコラボして、「返信ください(バレンタイン)」のキャラクターとしてだす代わりに、クマトモのアプリから「返信ください」に送客してもらうという取り組みです。

結果的に、クマトモのアプリから10万アクセスの送客をいただいた分、クマトモとトークする画面のアクセス数は約100万という結果をお返しでき、両者にメリットがある結果になりました。

ソーシャルのシェアは「友だちにシェアしたら、このキャラとトークできます」としたところ、3日間で800シェアくらいされました。

前作へのプロモーション効果

続編をリリースしたタイミングで、前作への送客が想像以上にできた。お金がかからずに、大きなプロモーション効果を出すことが出来た。

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「返信ください(クリスマス)」⇒「返信ください(ノーマル)」は7日間で約90,000ダウンロード送客、「返信ください(バレンタイン)」⇒「返信ください(ノーマル)」は7日間で約50,000ダウンロード送客、のユーザーを送客することが出来ました。

※補足:実際に「返信ください」のランキング推移を見てみると、続編が出たタイミングで大きくランキングを上げていることがわかる。
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(データ参照:AppAnnie)

続編をタイプで分ける

タイプ別、続編を出したときのメリット、デメリット。
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イベント型・・・返信ください(バレンタイン、クリスマス)、なめこ(秋バージョン、春バージョン)
量産型・・・49人目の少女
スケールアップ型・・・Templerun、アングリーバード

まとめ

1、ヒットしたら続編ならではの特性を定量化データとして記録し、再利用できるようにしておく。
2、続編のタイプを把握し(タイプによっては)前作含めた収益機会に備える。
3、施策を通じて、シリーズにユーザーが求めるものをつかみ次に生かす。

告知

業界最安値、1インストールあたり20円のリワード広告を始めた。(※GAMEFEAT導入アプリ限定などいくつか条件有)リワードは70-80円くらいが1インストールあたりの相場なので格安。

採用のほうもディレクター・エンジニアを募集しています、ご興味があれば以下のメールアドレスまでご連絡ください。
Mail: apptama@basicinc.jp

聞いてみて感想:
あまりに内容が似ているアプリだとAppStoreだとリジェクトされる可能性もありそうですが「返信ください」で大丈夫ということは気にしなくていいのだろうか。とりあえず、続編を出すときは前作や自社アプリへの導線をきっちりつくることを忘れずにやったほうが良さそうです。

2、「韓国のスマートフォンマーケットの近況について」アイジーエイワークス 三好平太さん

アイジーエイワークスについて

韓国最大のリワードアドネットワークadPOPcorn、トラッキングツールadbrixなどを提供。ソウルと東京に拠点があって、グローバルでのプロモーションを手がけている。アイジーエイワークス:http://www.igaworks.com/page/index

韓国のマーケットの基礎情報、マーケットプレイス、ソーシャルメディア、スマホゲーム、プロモーション手法について簡単にお話します。

韓国アプリマーケット基礎データ

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韓国はスマホの普及率が非常に高い、現在はおそらく普及率80%超え。スマホユーザー数は3600万強。

日本と比べて韓国はAndroidに非常に偏ったマーケット、Androidのシェアは91.7%、iOSは7.4%、残りのシェアはWindows mobileとか。

市場規模はざっくり、アプリ全体の市場が約2.5兆ウォン(日本円で約2500億円)。その内、ゲームの市場規模は9180億ウォン(日本円で約900億強)。

ただ、これは韓国政府系の団体がだした2013年の予測値なので、実態はこれより30~50%くらい増えていると予測されている。

韓国の主要アプリストア

マーケットプレイスはiOSはAppStoreのみ、Androidはストアがいっぱいある。

初期(2011-2012年)に携帯キャリアがストアをつくって盛り上げた経緯があって、キャリア系の3大マーケットとして、SK telecomeの「Tストア」、KT(旧韓国通信)の「olleh(オーレ)マーケット」、LGの「U+(ユープラス)ストア」がある。

それから、大手サーチエンジンNAVERの「NAVER Appstore」。今はカカオトークの影響でGooglePlayが圧倒的に大きいマーケット、他の追随を許さない。

韓国のソーシャルメディア

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カカオトーク・・・LINEのようなメッセージアプリ、存在感としては日本のLINEと同等ぐらい。
カカオストーリー・・・カカオトークのフランチャイズ。通称、黄色いFacebook。
BAND・・・NAVER子会社のキャンプモバイル運営。リアル知人のグループコミュニケーションアプリ。最近顕著にユーザー増。
NAVERカフェ・・・オンラインの同好会のものをモバイルにもってきたサービス。
Facebookも非常に人気はある。

主なモバイルコミュニティの月間の滞在時間数。
BANDが最近急速に伸びている。
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モバイルソーシャルメディアのユーザー推移。
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ユニークユーザーの推移(2012~2013年の10月)。
カカオストーリーが一番人気がある、Facebookもかなりユーザーがいる。
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ゲームについて

カカオトークが2012年の7月30日にゲームセンターをオープンして以降、カカオトークは韓国のスマホのモバイルゲームの業界において、最も影響力を持つ存在。

いろんなゲームがカカオトークから出されたが、カジュアル向きのプラットフォームなので、ミッドコア・ハードコアのゲームはほぼ出てこない。

カカオの影響で、月間で数億円と売上がでるゲームが出てきた結果、「韓国マーケットは熱い」と世界での注目度が上がり、2013年は海外ゲームの韓国進出が増えた。

LINEのBANDが今年の初めぐらいにゲームに参入する公表した、こちらも見逃せない面白い動き。

ゲーム会社の売上ランキング

モバイルのゲームの会社の売上規模ランキング、1~8位をすべて足すと1兆ウォンを超えるほど。

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カカオゲームの影響力は大

韓国のゲームユーザーの総滞在時間数におけるカカオゲームの滞在時間の割合。青がカカオトークに滞在している時間、カカオトークのインパクトの大きさがわかる。

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韓国のゲーム関係者と話をすると、カカオの影響があまりにも大きいので、「カカオにのらないとゲームが成功しない」「カカオにユーザーが取られてる」とまで言われるほど。

ただ、カカオの功績として、今までゲームをしなかった人がスマホゲームを遊ぶようになった。
グラフを見ても、カカオが登場後(2012の8月以降)はカカオ以外のゲームプレイ時間も相当伸びてる。

1000万ダウンロード達成アプリ一覧

1000万ダウンロードを韓国国内だけで達成したゲーム(プレスリリースを見て調査したもの)。「Tap Sonic」という音楽ゲーム以外は全部カカオに乗ってるゲーム。

韓国は人口5000万人の国、モバイルユーザー3500~3600万という中で、1000万ダウンロード達成するアプリがこれだけあるのは驚異的。

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ゲーム以外の話

韓国流行っているゲーム以外のアプリ。ランチャー、壁紙、ロック画面、出前アプリ、漫画、音楽、ショッピング、ソーシャルコマース、リワード系のポイント稼ぎアプリ、ブロードキャスティング・放送系。GROUPONみたいな共同購入を、韓国ではソーシャルコマースと呼んでいて、盛り上がっている。

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PhoneThemeShop・・・着せ替えアプリ
配達の民族・・・出前アプリ
アフリカTV・・・生放送配信アプリ
AdLatte・・・リワード(ポイント)アプリ
coupang、TMON、Wemakeprice・・・ソーシャルコマース

ゲームのプロモーションについて

主な手段は、PR、バイラル、ブーストCPI、アドネットワーク、オフラインなどが主なところ。

■PR(メディアリリース)
・・・プロダクトのリリース時、アップデート時に実施するケースが多い。

■アドネットワーク
・・・韓国はブーストが強すぎてあまり注目されず、今後は徐々に注目されるはず。

■オフライン
・・・地下鉄の駅、電車など。ポコパンはテレビCMにかなりお金をかけていた。

■リワードCPI(ブースト)
・・・一番効果あり韓国では王道。ただ日本の2〜3倍かけないとGooglePlayランキングに影響与えられない。iOSはマーケットが小さいので3〜5万DLでもランキング上位を狙える。

■バイラル
・・・NAVERカフェなどのコミュニティーや影響力のあるブロガーと提携、アプリの面白さを伝えてバズらせる。効果測定しにくいが韓国は口コミが影響を与える社会なので重要な手段。

聞いてみて感想:
韓国カカオトークのゲームは日本のLINEゲームと同じようなポジションで、もっと強烈な感じなのだろう。プロモーション予算がないと韓国進出は厳しいのかな、ソーシャルうまく使ったりして結果だしたり、口コミで広がったアプリの事例とか知りたいですね。とりあえずスマホ普及率80%ってすさまじい。

取材協力:株式会社フルセイル、アイジーエイワークス、株式会社サムライインターナショナル

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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