ユーザーが伸びた理由は「女子高生」と「インカメラ」。1,000万ユーザーの生配信アプリ「ツイキャス」が語るスマホベースであることの大切さ。

2015年07月29日 |
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今回は「ツイキャス」を運営している、モイ株式会社さんにお話を伺いました。大きくユーザーが伸びた2つのキッカケ、スマホベースにすることの大切さ、など。

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※モイ株式会社 丸吉 宏和さん

ツイキャスについて

「ツイキャス」について、おしえて下さい。

丸吉:
ツイキャスは「スマホで簡単に生中継ができる」というアプリです。ミッションとしては「世界中の人々をリアルタイムにつなげる」ということを掲げています。

ユーザー数でいうと、今年の4月に1,000万ユーザーを突破していて、現在アルバイトの方も含めて20名ほど(半分はサポート担当)で運営しています。

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※1ユーザー=アカウント登録。

「どんなユーザー」が使っているんでしょうか?

丸吉:
ユーザーについては「若いユーザー」と「女性ユーザー」が多いのが特徴です。年齢でいうと24歳以下が55%を占めていて、男女比でいうと男性40:女性60という比率になっています。

学生ユーザーも多いので、ユーザーがアクティブになるのは「学校が終わったあと」ですね。学校が終わって夜になってくると、どーんと利用が伸びてきます。

「ユーザーの滞在時間」については、「だいたい30分くらいつかう」という人が多いと思います。1つの放送は基本的には30分までなので。(※ツイキャス内の仮想アイテムを使うことで、最大4時間まで延長可)

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ユーザーが伸びたのはなぜか?

「ユーザーが大きく伸びたきっかけ」は何かあったんでしょうか。

丸吉:
一気にユーザーが伸び始めたのは、2013年の前半くらいでした。「なぜ、そのタイミングだったか?」というと、2つのきっかけがあったと考えています。

1つ目は「スマホにインカメラがついた」です。というのも、生配信サービスにおいてインカメラとアウトカメラで、文化というか「撮れるもの」が全く違うんですよ。

例えば、アウトカメラを使うと「風景やおもしろいものを中継する」という配信になります。

それがインカメラだと「自撮り」ができるので、自分の顔を映しながら放送できる。そして、「コメント」を読みながら放送できるので、コミュニケーションも取りやすくなった。

2つ目は「女子高生にツイッターが浸透した」です。女子高生にとってツイッターが当たり前になったことが、ツイキャスにとっても追い風になりました。

ツイッターアカウントをつかって、そのままアカウント登録もしてもらえるし、ツイッターを通じてツイキャスの放送自体も拡散されやすくなった。

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「放送されるコンテンツ」には、何か変化はありましたか?

丸吉:
最初は「自撮りで配信する女子高生」から広がっていき、最近はいろんな方がつかってくれています。

昔から利用いただいている「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんをはじめ、最近は、藤田ニコルさんなどモデルのみなさんや、渡辺直美さんなどにも、ご活用いただいています。

他には「浦和レッズ」さんは、サッカーの練習風景をツイキャスで流してくれています。あとは「アーティスト」の方が、新曲の告知も兼ねて、つかってくれることも多いです。

ツイキャスで配信することで「Twitterのフォロワーが増える」ということも、1つの利用になっているのだと思います。

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海外でユーザーが伸びたのは?

ツイキャスには「海外ユーザー」もいるんでしょうか?

丸吉:
そうですね、1,000万ユーザーのうち、2割くらいが海外ユーザーです。そして、実は海外ユーザーの半分(100万くらい)はブラジルのユーザーです。

ブラジルで伸びたのは、「通信環境」が大きな要因だと思います。ブラジルのネット環境って、めちゃくちゃ悪いんですよ。日本と比べものにならないくらい、ネットが遅くて安定しないわけです。

ツイキャスは「通信が遅くてもつかえるように」と改良を続けてきたのですが、それがブラジルの過酷なネット環境にマッチしたのだと思います。

ちなみに、ツイキャスを運営していて「日本の通信環境は世界一だ」と実感しています。北米も東南アジアも良くなってきていますが、「一般家庭レベル」になるとまだまだです。

日本で「ライブ配信サービス」が成熟しているのも、「ネット環境の良さ」が大きな要因だと思いますね。

「通信が遅くてもつかえる」っていうのは、どんな仕組みなんですか?

丸吉:
技術的には「ユーザーのネット環境」をツイキャス側で判断するようにしているんです。

例えばモバイルだったら、「動画が止まらずに視聴できること」を優先して画質を落としたり。逆にネットが速いところにいると高画質で配信されます。

つまり「リスナーにとっての快適な環境」を、ユーザーごとにチューニングしているわけですね。なので、電車に乗っていて地下に入ったりすると、画質のクオリティが自動的に落ちたりもする。

日本でも月末になると、ほとんどのユーザーは通信制限にかかっちゃうじゃないですか。そのため、通信制限のかかった状態(128kbps)でも、なめらかに動画が見られるようにこだわっています。

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ツイキャスはSNSの動画版。

ツイキャスの放送って、なんかゆるいですよね。

丸吉:
そうですね、ツイキャスって「番組」ではないんですよね。番組っぽくすると配信のハードルが上がっちゃうので。「SNSの動画版」みたいなイメージでしょうか。

だから、普通のサービスって「発信側」がちゃんとしてないと、放送が成り立たないのですけど、ツイキャスは「コメントがいっぱいくるので「リスナーまかせ」な受身の配信も成り立つんですよ。

そういう意味では、「自分の言いたいこと」を伝えられる人よりも、「相手がいいたいこと」を引き出せる人のほうが、人気が出やすい傾向にもあると感じます。

「配信する側」の人は、どんなモチベーションなんでしょう?

丸吉:
キャス主(配信者)のモチベーションとしては「心地よいコミュニティをツイキャスの中につくる」みたいな感じでしょうか。「人気になるために配信している」という人は、実は5%もいないと思います。

イメージとしては「カフェでだらだら話す」みたいなことに近いです。最近は「カフェに行かなくても、ツイキャスでしゃべればいいよね」という高校生も増えていると思います。

また最近「コラボキャス」という機能もつけました。これはリスナーが「ゲスト」的な感じになって、「コメント」だけではなく、声と動画でも配信に参加することができます。

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「ツイキャス用語」みたいなのも結構ありますよね。

丸吉:
そうですね、生配信することを「キャスする」、配信者を「キャス主」、配信のことを「○○のキャス」と言います。これから「ググる」みたいに、一般的につかわれるようになったら嬉しいなと思います。

あとはなんだろう、はじめて放送をみている人を「初見さん」と言います。「初見です」「初見さんいらっしゃい」みたいに使います。

それと、コメントしない人を「もぐりん」といいます。コメントが少ないと「もぐりんやめてください〜」とか言うんですね。なんだか、女子高生が考えたっぽい、かわいい表現ですよね。

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「スマホをベースにする」というのが重要

ツイキャスをこれまで運営してきて、何か「わかったこと」などありますか?

丸吉:
ツイキャスをやっていて「スマホをベースにしないと、圧倒的にユーザーに見てもらえない」ということをつくづく感じます。

例えば、とある著名女性アーティストさんが、Youtubeとツイキャスで同じ日に、生配信をしたことがあって。そのときは、Youtubeよりもツイキャスのほうが5倍以上も見られていたんです。

どうして、そんなに差が開いたんですか?

丸吉:
理由は「スマホ」にすごく紐付いているんですよ。ひとつは「プッシュ通知」です、フォロワーには「○○さんが配信を開始したよ」と通知されるからですね。

もうひとつは「ソーシャル連携」です。リスナーが放送を見ながら「コメント」を書くと、ツイッターにも放送のURLが拡散されて、リアルタイムで人が集まってくる仕組みになっているから。

ちなみに、「ツイキャスで配信されている放送」の94%はモバイルからの配信なんですよ。もちろん、PCからでも本格的な配信は出来ますけど、ほとんど使われていないんです。

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ツイキャスで特徴的な「5つの放送ジャンル」

メイクキャス

丸吉:
一番人気があるメイクキャス主は、郷 杏樹(@mini_size0)さんという方です。累計2,000万人くらいに放送が視聴されています。

このキャス主さんは「メイクキャス」といっても、メイクがメインコンテンツではなくて、コミュニケーションがとっても上手なんです。

例えば、「メイクをしながら恋愛相談とか聞いたり、友だちのような感覚で配信しているんですね。それで「みんながコミュニケーションとして楽しい」という空間をつくっています。

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弾き語りキャス

丸吉:
「弾き語りキャス」も人気があります、いわば「路上の弾き語り」のバーチャル版ですね。「路上での弾き語り」って、ファンが蓄積しにくいので実は非効率だと思うんです。

例えば、kain(@kainkain2525)さんは、ツイキャス上で地道にファンを増やし、視聴数が850万人を突破しています。そして、事務所に頼らずにリリースしたアルバムも、オリコンでTOP10入りしました。

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お勉強配信

丸吉:
「お勉強配信」というのは「何も話さずにみんなでお勉強をするだけ」というだけの配信です。もくもく会のバーチャル版みたいな感じですね。朝五時くらいにはじまるキャスもあります。

特に「うい→Ai♡うさぎ組♡組長」(@syokopiko)さんの配信が人気です。

イケボキャス

丸吉:
「イケボ」は「イケイケボイス」の略称で、声がカッコイイ人のことを言います。

イケボキャス主さんは、女子中高生に爆発的に人気があります。自分たちでイベントを主催するときには、ファンレターを200通以上もらうそうです。

カップル配信

丸吉:
カップルでの配信を「カップル配信」といいます。これ一見すると「すごい炎上しそう」って思うじゃないですか。でもツイキャスの中では、当たり前の文化になっているんです。

キャス主としても「いちゃいちゃして、自慢してやろう」みたいな意図はなくて、自然にやっているんですよ。コメントも「憧れます」「応援してます」とかが多くて、荒れたりもしないですね。

これをみて思うのが、いまの若い世代って「ネットでのコミュニケーションが当たり前」になっていて、「ネットが現実世界の延長」みたいな感じになっているということです。

例えば、ネット上でリア充を発見しても叩いたりしませんし、「感情をシェアして仲良くしていこう」という雰囲気があるのは素敵だなと思います。

そもそも「カップルを叩く」って、実は日本人同士だけです。アメリカ人がカップルで仲良くしていたら「素敵だな」と思いますよね。日本でも少しずつ認識が、変わってきているのかもしれません。

「キャスマーケット」について

最近はじめた「新しい試み」はなにかありますか?

丸吉:
最近「キャスマーケット」というのをはじめました。

これは「ツイキャス上で、簡単にチケットが売れる」という機能で、イメージとしてはツイキャス上で、「ミニジャパネットたかた」みたいなことが出来るようにしたものです。

僕たちは「アーティストが、食べていけるハードルを下げたい」と考えていて。いまの世の中は「価値をクリエイトしている人」に、収益があまり還元されていないので、それを変えたいんです。

特徴としては「手数料が一切かからない※」ということです。つまり、3000円のチケットを売ったら、3000円全額がそのまま収益になります。

実際にツイキャスで3,000円ほどのチケットを、1分で100枚も売ったインディーズのアーティストさんも出てきています。これから、そういった事例を増やしていきたいですね。

※「配信中、配信後1時間以内に売れたチケットには」については手数料0%、それ以外は手数料8%

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取材協力:モイ株式会社

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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