MAU 380万人のWiFiアプリ「タウンWiFi」が語る「いいモノをつくれば売れる」という幻想のワナと、ユーザー層が変化したことで「勝ちクリエイティブ」が変わった話。

2022年10月17日 |
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※本記事はnoteにて公開した記事を転載したものです(公開日:2021年7月28日)数値などは取材当時のものです。
https://markelabo.com/n/n4045bec65949

1,000万ダウンロードの「タウンWiFi」を取材しました。


※ GMOタウンWiFi株式会社 代表取締役 荻田 剛大さん

「タウンWiFi by GMO」について教えてください。

荻田:
街中のフリーWiFiに自動で接続できるアプリです。2016年5月に公開して、現在は1,000万ダウンロード(MAU 380万人)を超えています。

これは、オートフィル(自動入力)のように、アプリが会員情報などを自動入力することで、フリーWiFiにカンタンに接続できる仕組みです。

ユーザーはフリーWiFiの会員登録などの、わずらわしさから開放されます。


※ 運営メンバーは、社員と業務委託を合わせて25名ほど。

どのような経緯でアプリをつくったのでしょうか。

荻田:
2015年に起業したのですが、自分が「スマホの通信制限」にかかって、この問題をなんとか解決したい、という想いからスタートしました。

それで、はじめは「余った通信量を誰かに売れる」といった、WiFiマッチングアプリをつくったのですが、全然うまくいきませんでした。

WiFiの届く範囲って20メートル程なので、部屋が隣くらいでないと成立しません。マッチング率がとても低かったんです。

なるほど。「タウンWiFi」はどのように生まれましたか?

荻田:
そして次に生まれたのが、街にたくさんあるフリーWiFiをアプリに集約して使えるようにする、というアイディアでした。

そのときに、前職の楽天の同僚をCTOに誘って、3ヶ月でアプリをつくって公開したのが「タウンWiFi」です。

公開するとすぐに、ネットメディアやツイッターで話題になり、ストアのランキングが上昇していき、2ヶ月で100万ダウンロードを超えました。

これには驚きました。当時は、まだ大容量プランもなくて、それだけ「通信制限になりたくない」という人が、多かったのだと思います。

初期に「後悔したこと・やってよかったこと」

荻田:
実際、初期に1日1,000円ほど広告を出したら「1DLあたり30〜60円」で獲得できていたんです。お金がなかったので、たくさんは出せませんでした。

しかし、そこから資金調達した後に、広告に出稿すると「CPIは120円」になりました。勢いがあるときとは、結果が全然違いますよね。

初期にやってよかった「最大 1日1,000件のサポート対応」

大容量プランで「ユーザー層」も変わっていった話

サービスを公開してから「ここは転換点だった」と思うところがあれば教えてください。

荻田:
2016年頃に、ソフトバンクさんから「ギガモンスター」という、月50ギガの大容量のプランが出たことです。

大容量のプランが出るということは、WiFiをつかわなくていい人が増える。それによって、タウンWiFiのユーザー層が変わりました。

もともとは、20-30代の都心のネットヘビーユーザーが多かったのですが、だんだん、地方に住む40-50代の節約したい人が増えていったんです。

すると「勝ちクリエイティブ」も変わりました。はじめは「通信料の節約アプリ」のような、ネット利用者にむけた訴求が効果的でした。

次第に「WiFiって街中にこんなにあるんですよ」と、節約したい方に「損してませんか?」と伝える訴求が刺さるようになりました。

小さな変化であっても、時間差でサービスに響いてくるので、どこに勝機が生まれるのかを、いち早く判断することが大事だと感じました。

そこから、2019年に「GMOインターネットグループ」になりました。どのようなところが評価されましたか。

荻田:
アクティブユーザー数や、僕らのチームメンバー、エンジニアが多くて技術を持っていたことは、すごく評価してもらえました。

入ってよかったのは、売上もプロダクトも伸びていますが、元いたメンバーが誰もやめていないこと。これは誇らしいしよかったなと。

オンボーディング関連の「2つの成功施策」

これまでに「うまくいった施策」について教えてください。

荻田:
ボタンの文言をすこし変えるだけで、数値に変化がでた事例があります。

たとえば、オンボーディングの「初期設定をする」という言葉を、単純に「次へ」という言葉に変えたところ、離脱率が下がったんですね。

これは「初期設定」という言葉に「重さ」があったからかなと。あまり重く考えさせないテキストにしたほうが、いいのだと感じました。

なるほど。ほかにも「うまくいった工夫」はありますか?

荻田:
あとは、オンボーディングって「読まない人」も実は多いため、読まない人向けの対策をしたことは、効果的だったと思います。

具体的には、オンボーディングを「アプリ内メニュー」から、見返せるようにしたところ、問い合わせ数が(10〜20%は)減りましたね。

タウンWiFiはどうやって「マネタイズ」していますか?

荻田:
主なマネタイズとしては、アフィリエイト型の広告と、小売店に向けた集客型の広告ですね。

後者は、周辺エリアのWiFiにつながったときに、「近くのお店でこんなキャンペーンがあるよ」と、近くにいる人に広告が出せる仕組みです。

広告主としては、薬局のチェーンだったり、駅前にあるような商業施設が、チラシの置き換えのような感じで、出稿してくださっています。

今後はどんなところに力を入れていきますか?

荻田:
ポイントをつかって、ユーザーさんの通信量を安くしていくのは、今年のメインプロジェクトとして考えていますね。

最近は、WiFiにつながるとポイントが貯まる、というポイ活機能が上手くいっていて、これでアンインストール率が数%下がりました。

さらに、動画広告をみたら「さらにポイントUP」としたところ、約80%のユーザーが動画をみてくれています。

成功施策に共通してるのは「もったいないコミュニケーション」なんです。僕らのユーザーと相性が良いキーワードなのかなと。

この機能も「ポイントが貯まるのにもったいないよ」ですし、先ほどの広告の話でいうと「街中にWiFiがあるのにもったいないよ」です。

—–

タウンWiFi:https://townwifi.jp/
GMOタウンWiFi株式会社:https://townwifi.jp/company/
荻田さん ツイッター:@go_dai

【告知】GMOタウンWiFiさんでは採用募集中。エンジニアなどを探しているそうです。ご興味ある方は下記のサイトよりどうぞ。
https://www.wantedly.com/companies/townwifi/projects

※続きのマニアックな事例を、note購読者向けにまとめています。プッシュ通知の許可率を高める工夫、IDFA許諾を10%改善した事例、初日アクティブ率が5%アップした事例、などご興味あればご覧ください。
https://markelabo.com/n/n4045bec65949

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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