服借り放題サービスは「服好きな人」につかわれない。借り放題アプリ「メチャカリ」意外なユーザーニーズと、長身モデルが「リアルじゃない」言われる話

2017年06月12日 |
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服が借り放題できるファッションアプリ「メチャカリ」について取材しました。


※株式会社ストライプインターナショナル メチャカリ部 部長 澤田昌紀さん

「メチャカリ」について教えてください。

メチャカリは「服、借り放題アプリ」です。ユーザーは月額5,800円を支払うことで、好きなアイテム(新品)を借りることができます。

返却すればまた借りられますし、もし借りたアイテムが気に入ったら、そのまま60日間もっていると、ユーザーは「その商品をもらう」こともできるようになっています。

2015年9月にリリースして、ダウンロード数については、50万ダウンロード(iOS75%:Android25%)を超えている状況です。


※月額5,800円で服が借り放題(主に自社ブランド)になる。気に入ったアイテムはもらうこともでき、借りられた点数に対しての「もらわれる率」は20%程度。

どうして「メチャカリ」をつくろうと考えたのでしょう?

一言でいうと「若者が服を買わなくなっている」ためです。昔よりアパレル市場も小さくなっているし、若者の時間とお金はスマホにどんどん奪われています。

そういう、若者がファッションから離れつつある時代に、若年層を取り戻すための「良いアイディア」がないかと考えたのがキッカケでした。

メチャカリは「どのようなユーザー」につかわれていますか。

基本は、女性ユーザーさんがつかってくれています、年齢でいうと20代中盤の方が多いですね。

意外だったこととしては、そこまで「服が大好きな人」につかわれなかったこと。なぜなら「服に貪欲な人」たちって、自分で探して服を買ってしまうからです。

なので、メチャカリユーザーには、そこまで「服に前のめりでない」というか、生活において「服が一番ではない」という層が多いんです。

SNSでたとえると、インスタに「ファッションの写真」をあげるというよりは、Facebookやツイッターにいる人に近いイメージでしょうか。

そうした方たちに、何も考えなくても「今年のトレンド」が取り入れられて、服にかける費用をおさえられるようなサービスとしてつかわれています。


※どちらかというと「ファッションのめんどう」を回避できるサービスとしてつかわれた。

いま「月額の会員数」はどれくらいになっていますか。

会員数でいうと、5,000人を超えています。まだ、ビジネスとして成立はしていないのですが、少しずつ積み上げていっています。

月額会員は平均で6ヶ月くらいは継続してくれています。初月無料のタイミングで、辞めてしまう方もいるため、そこが平均を少し下げてはいるのですが。

やっぱり、月額会員が伸びるのは、テレビ番組やヤフートップなど、大きなメディアに取り上げられたタイミングが大きいです。

あとは、コスメ系のYouTuberが「変わり種ネタ」として紹介してくれて、AppStoreの人気検索に入ったときも効果がありました。

アプリを運営してきて「想定外だったこと」はありますか。

昨年の8月から、借りたモノを「買い取り」できるようにしたところ、メチャカリで「服を買ってくれる人」がたくさん出てきたことです。

借り放題サービスなので、まさか「買われる」とは思っていなかったんですよ。そこは盲点だったというか、仮説として大外れでしたね。

この機能については、ユーザーさんからの要望がたくさんあって実装したのですが、実装後には「感謝のメール」まできていました。

ちなみに、ヘビーユーザーの中には、半年で15万円ほど「買い取り」してくれている方もいます。実質、メチャカリを「定額試着サービス」のようにつかっているのかもしれません。

どうしてメチャカリでのレンタルは「新品の商品だけ」にしているんですか?

まだまだ、日本には「ユーズド(中古)」に抵抗を感じている人が多いためです。

実際、自社のEC会員に「ユーズドってどう思いますか?」とアンケートをとってみたところ、「ユーズドに抵抗がない人」って20%しかいなかったんです。

もうひとつは、日本のユーズドのファッション市場って、アパレル市場に占める比率でみると、欧米にくらべてえらい低いんですよね。

なので「ユーザーの印象」という意味でも、欧米とくらべた「市場の大きさ」という意味でも、中古レンタルという形だと、根付かないんじゃないかと判断しました。

※アンケートは5,000回答。ちなみに、アパレル市場(全体)に占める、ユーズド市場(中古)の割合をみると、欧米は10%くらいあるのだが、日本は3%くらいしかないそう。

メチャカリで「新品」として借りられて、戻ってきた商品はどこにいくのでしょう。

メチャカリで「戻ってきた商品」については、自社ECサイトのストライプクラブか、ZOZOUSED(ゾゾユーズド)で、中古品として販売しています。

ある程度、きれいな状態に「再仕上げ」して売っていて、中古の状態確認などもしなくて良いため、意外と販売効率は良かったりしますよ。

ほかに「借り放題アプリ」をやってみて、わかったことなどありますか?

けっこう「試着感覚でつかう人」は多いように感じました。たとえば、浴衣を2点かりたら「どちらか良い方」を着て片方は返しちゃう。

どうしてわかるかというと、服についている「商品タグ」が、そのままで返ってきたりするんですよ。

あと、想定していたよりは「レンタルの回転数」も多くなかった。もっと何度も借りるのかなと思ったら、よくつかうユーザーさんでも、月2回ほどしか借りていなくて。

なるほど。

あとは、ECにくらべると「若干高めの商品」がでやすいのと、昨年に流行った「白いコート」のような、汚したら着られない…という商品はでやすい。

ユーザーニーズという意味では、「親御さんが子供のために」というニーズがあることも、やってみてわかったことです。

たとえば、お父さんが「上京する娘にプレゼントしたい」と思ったり、お母さんが「娘の服代を下げてあげたい」と2セット契約してくれたり。

最近の「ユーザー心理」という意味で、何か変わってきていると感じることはありますか?

最近は「リアルな方が信用される」という時代になっていると感じます。あまりにキレイすぎると、ユーザーに信用してもらえなくなっている。

たとえば「メチャカリ」では、モデルの身長を記載しているのですが、170センチのモデルばかりだとユーザーから不満が出てしまいます。

もう普通に「こんなのリアルじゃないよ」「全然、参考にならないよ」という風に言われてしまうんです。

なので、僕らも160センチ未満の「小さいモデルさん」を必死に探したり、アプリ内で「身長のハッシュタグ」をつけたり、気をつけるようにはしていますね。

取材協力:株式会社ストライプインターナショナル

メチャカリ

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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