ネットで話題になったアプリ「暴れ松尾芭蕉」をつくった、大阪の「FUTON NINJA」さんにお話を聞きました。アプリがネットでバズると、どのくらい稼げるの?
※「FUTON NINJA」のチョチョリーナ宮澤さん
「暴れ松尾芭蕉」について教えてください。
俳句が思いつかないことに、イライラした松尾芭蕉が、農民をしばきにいくゲームです。ゲーム中に俳句がでてくるのは、俳句をよんで農民からお金をもらうためです。
うん、松尾芭蕉がこれ見たら怒るでしょうね。死んでるのをいいことにね、こんなゲームにされちゃったら、さすがに怒るとおもいますよ。まず我々がしばかれると思います。
すごいゲームですね。
そして、これなぜか「18禁」のゲームなんです。Google Playでいつのまにか「過激な暴力」というラベルがついていました。なんでしょうね。たぶん棒を振り回してるからですかね。
実はいまつくっているLINEスタンプでも、「暴力」がひっかかって、リジェクトされてしまいました。スタンプでは、松尾芭蕉から棒をとりあげて、暴れないようにします。
「暴れ松尾芭蕉」の企画はどのようにできたのでしょう。
最初に「暴れ松尾芭蕉」というネーミングだけ決まったんですよ。ネーミングのインパクトの強さとバカバカしさがとても気に入って。
ほかにも「暴れガンジー」や「暴れ杉田玄白」などの案もありましたが、響きのよさで「暴れ松尾芭蕉」にしました。「よぼよぼの偉人が殴ってくる感じ」がおもしろいなと。
そこから、1~2日でイラスト(背景とキャラ)を描いて、ゲームシステムを決めて、それで出来たのがアレです。開発期間は1ヶ月くらいだったと思います。
開発元の「FUTON NINJA」について、おしえていただけますか?
僕(デザイン)と大西(プログラミング)の二人でアプリをつくっています。正確にいうと「つくっていました」ですね。いまはアプリをつくっていないんです。
え、どういうことですか?
実は「FUTON NINJA」は2014年に活動を休止していました。「暴れ松尾芭蕉」をだしたのも、1年半くらい前(2014年の3月)で、アップデートもせず「ほぼ放置」という状態だったんです。
「活動休止」になったのは、どうしてだったんですか?
単純に「アプリがヒットしなかったから」ですね。10本くらいアプリをだしましたが、ずっと「1万ダウンロードいけば良いね」というレベルが続いていて。正直かなり苦戦していました。
ただ、今回「暴れ松尾芭蕉」が少し話題になったので、「これを機に、もう一度アプリをつくってみようか」という話にはなっています。
「暴れ松尾芭蕉」が話題になったのは、どこから火がついたんでしょうか。
最初はツイッターから火がつきました。1年半前にだしたアプリがいきなりですね。笑
そこから先は、よくわからないんですけど、ネットで話題になって、ランキングが上がっていったのだと思います。ほんとに、いつ何が起きるか、わからないですよね。
↓「暴れ松尾芭蕉」AppStoreのランキング推移(データAppAnnieより)
↓発端になったツイート、1万RT以上されてる
こういうゲームが見つかるから、スマホゲームのランキングをどんどん下に潜るのやめられなくなるんですよね。 pic.twitter.com/vOd7U7HzMJ
— するめ(以下)マン (@IkamanS2) September 27, 2015
そうだったんですか。「話題になっている」というのは、どのように知ったのでしょうか?
久々に相方からメールがきまして。なんだろうとおもったら「松尾芭蕉がプチヒットしている」というメールでした。もちろん、最初は二人してすごい喜びましたよ。
すごく現実的ですが「ようやくこれで、アプリで食っていけるかもしれない!」「収益の分け前はどうしようか?」「古いパソコンが買い替えられる!」みたいに話したりして。
でもね、そこまでは収益にならなかった。
話題になったことで、ダウンロード数などは、どのくらい伸びたんでしょうか?
ダウンロード数でいうと、1,000ダウンロード未満から、約4万ダウンロードまで伸びました(iOS+Android)。だから、一気に話題になって一気に下がっていった感じでした。
もう少し勢いが続けば「キター!」という感じですけどね。今は「あれ、本当は何も起こらなかったんじゃないか」と幻をみていたような感覚です。話題になったのが、あまりにも短かった。
今回の件で「広告収益がいくら出たか」でいっても、大体10〜20万円くらいだと思います。
最後にメッセージがあればお願いします。
「アプリ開発は簡単じゃないな」と改めて知りました。あとは、ぜひうちのアプリを遊んでみてもらえると嬉しいです。とくに「USB刺しマッチョ」というゲームがオススメです。
※USB刺しマッチョ。やってみましたが、一瞬で飽きました。
取材協力:FUTON NINJA
編集後記
「暴れ松尾芭蕉」はすごく話題にはなったが、打ち上げ花火のように、4万ダウンロードで勢いがなくなってしまったと。出落ち系のアプリだと、このくらいが限界なのかもしれない。
一方、一度火がつくとグッと伸びるケースも。220万DLの「リア充爆発しろ!」(過去記事)や250万DLの「みつけて!おじぽっくる」(過去記事)など。違いを考えてみるとおもしろいかも。