AIが「メイク無効化」してしまうアプリについて、海外の開発会社にお話を聞いてみました。
※Magic Unicorn アショット・ガブリエラノフさん(この会社の創業者で、ロシア人のエンジニア)
「Magic Unicorn」について教えていただけますか?
Magic Unicornは、AIをつかったサービスに注力している、アメリカの会社です。10名で活動しています。
主なプロジェクトは、動画からリアルタイムに「人間の表情」を検出して、そこにアニメーションエフェクトをつける「Magic」というアプリです。
ちなみに、それより前は「Borsch」という、AIが食べ物をレコメンドするアプリをつくっていました。
※「Magic」は数十万ユーザー。アメリカ・ロシア・韓国・日本などでつかわれている。
そして、最近だしたのが「MAKEAPP」というアプリですね。
最近リリースしたのが、AIをつかったメイクアプリ「MAKEAPP」です。日本での話でいうと、今日だけでも8万人以上のアクティブユーザーがつかってくれています。
※アプリに顔写真を与えると、AIが「メイクアップ」や「メイク落とし」をするというもの。
ちなみに、どうして「MAKEAPP」をつくろうと考えたんでしょうか? 女性ユーザーからは「余計なお世話すぎる。笑」という声も聞こえてきます。
これを、なぜつくったかというと…
AIをつかって自撮りに「メイクをかける」という実験をしているうちに、その逆をやれば「メイクを落とせる」ということに気づいたんです。それも、かなり上手に。
そこで、この技術をアプリとして公開することで、みんなが「どういう反応をするのか?」を見てみようと考えました。
まあ、この機能については、ティンダーのヘビーユーザーあたりに、「モーニングサプライズ」を避けるための闇のアイテムみたく、つかわれていたりするかもしれない。笑
技術的には「メイクをかける」より「メイクを落とす」の方がむずかしそうだけど、実際にはどうだったのでしょう。
あ、それは逆なんですよ。技術的には「メイクをかける」よりも、「メイクを落とす」の方が簡単だったというか、上手くやれたんですね。
だからこそ、この「メイク落とし」を実装してみよう、と決めたところがあって。
ただあくまで、僕らのミッションとしては、AIをつかってリアルタイムに、自撮り(写真/動画)が楽しめるよう、技術を進歩させていくことです。
なので、ゆくゆくは「MAKEAPP」のテクノロジーについては、メインアプリである「Magic」の方に統合しようと考えています。
「MAKEAPP」ではAIをつかっているとのことですが、仕組みについて簡単におしえてもらえますか?
僕たちのAIテクノロジーは、10万人の「メイクあり/メイクなし」の写真をもとに、ディープラーニングをつかって学習させたものです。
この、データセットである「10万人の写真」については、いろいろなパプリックリソースから、半自動的に収集してきたものになります。
このAIの特徴は、その人によって「違ったメイク」を施せることなんです。
たとえば、その人がすでにメイクをしていたら、まずAIが「この人はメイクをしている」と検知して、その「オリジナルの色」を崩さないように、メイクを加えることができたりします。
さっきアショットさんが、「もうすぐ、 “リアルタイムでのメイク落とし” もできるようになるよ」というデモを見せてくれたじゃないですか。コレって本当に実現しそうですか?
そうですね、来年にはリリースしたいなと考えています。スマホの端末スペックがそれを許してくれるときになったら、といったほうが良いかもしれません。
というのも、僕たちがつくっているプロトタイプでは、すでに「リアルタイムでのメイク機能」というのは、ちゃんと動いているんですよね。
※開発環境マシンで動いている、リアルタイムでの「メイクアップ/メイク落とし」のデモ動画。
※来年にはスマホを向けると、AIが予測した「相手のすっぴん」がわかるようになってしまう…?(画像はイメージです)
最後に日本のユーザーに、何かメッセージがあればお願いします。
僕たちは日本のユーザーのことが大好きです。「Magic」「MAKEAPP」どちらのアプリも、世界で最初に発見してくれたのは、日本のユーザーだったんですよ。笑
ちなみに、AppStoreで「Magic」がフィーチャーされたのも、日本がはじめてでした。だから、日本のユーザーには、本当にすごく感謝しているんですよ。
取材協力:Magic Unicorn
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