アメリカのアプリのユーザーテストサービスappurifyが、
興味深いレポートを発表されていたのでご紹介。
要約としては、
・トップ1,000のアプリ(AppStore)を調べた結果、75%星4以上。
・リリースやアップデート前にバグやパフォーマンスチェックをすることは重要。
・アプリのレビュー評価とランキング順位には相関関係がある。
という内容です。
それを踏まえてこの記事の後半では、
アプリのレビュー促進や、評価向上のtipsを4つまとめました。
レビュー評価はランキングとも相関!appurifyのレポートより
高ランクのアプリは評価も高い
トップ1,000(※アメリカAppStoreの話)のアプリを調べた結果、
半分以上のアプリが評価平均4.5以上だった。
さらに75%以上のアプリは平均4以上。
星1レビューの原因は「バグ」や「落ちる」
星1レビューの半分以上は、
パフォーマンスの低さ、バグなどからくるもので、
事前にユーザーテストをすることで防ぐことが出来る。
レビュー評価とランキングに相関関係
アプリのレビュー評価とランキングには相関関係がある。
レビューが高くなることで、ランキングも優位になる。
同じDL促進キャンペーンをやったとしても、
評価平均3と4のアプリがあったら、
4のアプリのほうがランキングを大きく伸ばす可能性がある。
レビュー評価の高いアプリには、
レビューの高い評価がつきやすい、レビューをもらえる確率も上がる。
結論
レビュー評価はアプリのランキングにも貢献するし重要。
星1評価を受けて平均値を落とさないためにも、
まずは、リリース前にはユーザーテストサービスを使おう!
参考:An Appurify Study: Fix Bugs & Climb the Apple App Store Ranks
アプリのレビュー評価を活かす4つのポイント
細かく見ると、appurifyの調査結果は「?」なところもあったのですが、
レビュー関連で参考になるなというポイントをまとめたいと思います。
1、明らかなバグは直してからリリース
明らかなバグ、ユーザーに明らかにストレスを与える部分は、
きちんと解決してからリリースする。
特に予算をかけてプロモーションをしたり、
レビューサイトに申請を出す前にはチェックしておきたい。
2、アップデート・改善で見た目はよくなる。
AppStore上に表示されるのは、「現在のバージョン」のレビュー。
仮に低いレビューが集まってしまったらゲームオーバーではなくて、
アップデートして機能改善すれば、見た目の印象を改善することができる。
3、プッシュでレビュー促進をする。
うっとうしくないタイミング・頻度で、
プッシュでレビュー評価をお願いすることも重要。
レビュー評価をしてもらうということは、
ユーザーの声を聞くということでもあるので、
アプリの改善にも役立てることが出来ます。
昨日ちょうどみつけた、
「iPhoneのトリセツ」のジェネシックスさんの記事では、
催促アラートを表示させるタイミングと文言のチューニングも重要です。
いくつかのパターンを検証しましたが、
トリセツの世界観を反映したカジュアルな文言と、
新規ダウンロード後3日以降の3回目起動で表示させています。
ちなみにこのアラートが表示されて、
「はい!今書きます」を押してくれる人の割合は3〜4%でした。
もうひとつD2CRさんのセミナーに登壇されていた、
エキサイト岡田さんのお話されていた事例、
エキサイトニュースはDAUが7万人くらいいるがあまりレビュー書いてもらえなく、
1年運営しても50件くらいしかレビューがなかった。
そこで、評価依頼をもとめるダイアログを導入し、
アプリの最新ver・最新機種を使っている人に対して20回に1回表示するようにした。
開始1ヶ月でレビュー数50から450になった。
毎日つかっているファン層に訴求出来ているので、星4か星5がほとんど。
頻度高くつかっているコアユーザーにレビューしてもらう仕組み。
4、やっぱり人間だし、タイミングも重要。
人の機嫌が良いときを狙っておねだりすると、
機嫌悪い時と比べて、確実にリアクションが違いますよね?
ユーザー体験が最高の状態の時にレビュー書いてくれませんか?を出す。
というのはとても有効ではないかと思います。
・ゲームでハイスコアを出した時。
・ゲームをクリアした時。
・一日に何度も起動してくれている時。
などユーザー心理を考えたタイミングで、
レビューを書いてもらうのは有効だと思います。
amazonのレビュー回収の仕組みに学ぶ
レビューに関する付き合い方は、
amazonのWEBサイトも参考になるかもしれない。
膨大な商品を扱うamazonにとって、レビューを集める仕組みはとても重要で、
実際に、商品の購買率や検索エンジンランキングにさえも影響する。
恐らく、そこの仕組み構築には力を入れているはず。
例えば、
amazonのkindleで電子書籍を読むと、
本を読み終わったタイミングで「レビューしてくれませんか?」がでてくる。
この時にシェアとレコメンドも同時に出てきます。
本を読み終わった直後が、一番レビューを書きやすいでしょうし、
「この本良かった!」などとソーシャルでシェアしてくれやすいはず。
あとは、amazonで本を買うと、
(たしか)大体40日後くらいに「レビュー書いてくれませんか?」というメールが届きます。
40日くらいが本を読み終わっている頃で、
早く読んでしまう人も内容を忘れていない期間なのかもしれない。
小手先のテクニックだけに頼るのは良くない。
ひとつ覚えておきたいことは、
「レビュー評価が高くなる=ランキングが上がる!」
みたいに単純考えるのは危険というか浅い話で、
アプリのレビュー評価が上がるということは、
背景で動く数値として、レビュー数が増える、DL数が伸びる、アンインスト率が下がる、
などたくさんの要因があるはず。
良いレビューを書いてもらおうということに意識を向けすぎるよりは、
「良いアプリを提供する」ということに一番に力を注ぐべき。
テクニックにおぼれたSEOは淘汰されている。
参考までに、この話題はWEBサイトのランキング・SEOの話でも、
同じような議論がなされてきていて、
Googleの検索エンジンランキングでは、
「良いリンクがもらえるとランキングが上がる」
ということが割と定説です。
しかし、自然に良いリンクをもらうのは簡単ではなくて、
良いコンテンツを公開して認めてもらうことが不可欠だし、
アクセスを集めて多くの人に見てもらうことも必要。
じゃあ「良いリンク」を、
自作自演でつくりだしちゃえばランキングを操作できるよね?
という考え方の人々もいて(実はSEO会社のほとんどがこっちの考え方)
彼らはテクニックに頼ったリンク対策をしてきた結果、
当初は通用したものの、
現在は検索エンジン側(Google)のアルゴリズムの改善で、
高い精度で見破られてきている状況です。
実際に、業績好調だったSEO会社の知り合いに話を聞いても、
業績的にも、SEO効果的にも、かなり苦戦しているように聞きます。
地道な改善が一番堅実。
レビューの話に限らずですが、
本質を見失ったテクニックに走りすぎるのは危険。
悪質なスパム的なテクニックに関しても、今は問題なかったとしても、
ある日「ふりだしに戻る」の目がでる可能性がある、
ということは、頭に入れておく必要があります。
イチローが言っていた、
『ちいさいことをかさねることが、とんでもないところに行くただひとつの道』
ではないですが、地道にやっていくのが王道ですね。