ホリエモンこと堀江貴文さんプロデュースのアプリで、
「焼肉部」というおもしろいアプリがリリースされました。
アプリの内容としてはこうです。
男女2人同士がペアになって焼肉を食べに行くマッチングアプリで、
綺麗にいうとお食事マッチングアプリ、
ストレートにいうと合コンマッチングアプリ、出会い系アプリのような感じです。
「おごります!」とアイコンで宣言して相手に焼肉をご馳走することも可能。
先日「肉会」というアプリがDMMに買収されましたが、
コンセプト自体は肉会とほぼ違いがないようにおもいます。
この「焼肉部」ですが、ビジネスモデル・マーケティング的にも、
けっこううまく出来ているよなあと思ったのでざっと紹介していきたいと思います。
男女ペア2対2というのには意味がある。
男女2人同士をマッチングする形式、
(つまり男2人同士は知り合いで、女2人同士も知り合い)をとっていますがこれには理由があります。
トラブル防止
理由のまず一つ目がトラブル防止(及び女性側の参加のしやすさ)です。
男女1対1だと危険が起きる可能性が高くなりますし、
怪しい業者などの登場率も非常に高くなります。
Facebookをベースに実名参加にはしていますが、
Facebookアカウントなんて架空のものをいくらでもつくれてしまいます。
2人ペア同士にすることで架空アカウントをつくるハードルを多少高めています。
また友達同士で参加することで「焼肉部」を利用することへの抵抗が薄まる効果もあるでしょう。
人数が多くなるとマッチング率が下がる。
二つ目が人数が多くなると日程を組んだりペアの決定など、
意思決定が遅まりマッチングスピード・マッチング率が鈍ってしまうということです。
だから出来る限りの最少人数で安全性などを考えると、
バランス的に2対2がベストだと思います。
美人ユーザー&イケメンユーザーの獲得
三つ目が美人ユーザー(イケメンユーザー)の獲得です。
ここはひとつ肝になっている部分だと思います。
例えば「とってもブスなA子さん」がいて、
A子さんは「焼肉部」のアプリを知って使ってみたくてたまらないとします。
(A子イメージ:49人目の少女より)
このアプリは「相手に承認されないと焼肉が成立しない」アプリ。
ということはブサイクな自分がマッチングを成功させるにはペアはかわいい女の子が必須です。
となると、自然とかわいい女の子のペアを探そうという気になります。
A子(ブス)「ねえねえ焼肉部っていうアプリ知ってる?これやってみようよ!」
B子(美人)「何それ知らない、それ何?」
A子(ブス)「男の人と焼肉食べに行くアプリよ」
B子(美人)「そんなのが出来たのね、興味ないからいいわ。」
A子(ブス)「おごってくれる人もいるから「タダ飯」だと思ってさ!2人じゃないと参加出来ないの」
B子(美人)「まあそれなら・・・」
という感じで、
ブス子が勝手に宣伝をしてくれるばかりではなく美人ユーザーを連れてきてくれるという構図です。
「焼肉を食べる」はユーザーのために用意された単なる言い訳。
「焼肉部」はカジュアルで健全なイメージを大切にして運営しているように見えます。
2012年以降「街コン」がヒットして全国で流行りましたがイメージ的には「街コン」。
健全さ・カジュアルさはリリース時にあえてリアルイベントでアプリのお披露目をしたり、
美人時計とのコラボ、イケメン店員マップとのコラボなどにも表れているように感じます。
また、itmediaの記事での「焼肉という“言い訳”で楽しく出会ってほしい」という堀江さんのコメントからもわかるとおり、ヒツジの皮をかぶったオオカミ的な感じで「焼肉が食べたいから」という”健全な言い訳”で出会いが期待できるような仕掛けをしています。
イメージはこんな感じ。こういうアイコンにすればいいのに。
英会話教室とかテニススクールなんかの習い事も、
出会いが目的で通う人も多いみたいですがそういうのと同じです。
「焼肉部」という名前からもにじみ出ている通り、
焼肉を「言い訳」にしたカジュアルな出会い系というのがこのアプリの一番キーな部分だと思います。
「焼肉出会い」「大人のナイト焼肉」などの名前ではダメなのです。
マネタイズはリアル版の「ソーシャルゲームのガチャ」
「焼肉部」は1日1回ペア「異性のペア」が無料で紹介されます。
プロフィール・場所・予算などを見て気に入ったらオファーをかけるわけです。
この「異性のペア」を500円のチケットを払うことでもう+1ペア紹介してもらうことが出来ます。
有料チケットは以下の3つの形式で購入可能。
・追加紹介チケット1枚¥500
・追加紹介チケット5枚セット¥2,200
・追加紹介チケット10枚セット¥4,000
もしくは、SNSでシェアすれば有料チケット1枚もらえます。
出会い系なのでうまくシェアされるかは微妙な気もしますが。
(画像:アプリシュランより)
恐らく、有料のチケットについては、1枚ごとの単発ではなく、チケットがまとめ買いする人も増えてくると思います。
(これは「トップアドオン」としてAppStore上で可視化されるので誰でも確認することも可能。)
つまりソシャゲのガチャの要領で、自分の好みの異性が出てくるまで、
たくさんチケットを買ってガチャを回す人が出てくるはず。
「単発よりまとめ買いのほうが売れる現象」はソシャゲの課金や出会い系アプリのポイント購入でも見かけますが、金使う人は抵抗なくすごい金使います、AppleやGoogleのアカウントなので基本クレカですし財布から金が出ていく痛みも薄い。
変な話キャバクラにいくよりも、チケットを買って好みの女性を見つけて、
焼肉をご馳走したほうが安上がりになる可能性もありますから、キャバクラの市場からユーザーを奪えるとも言えます。
ここのマネタイズは利益率も高いですし、ハマればかなりうまくいくのではないかと予想しています。
おわりに
勝手な予測も含めて書いているので運営側がどう考えているかはわからないですが、
結構うまい仕組みがあって面白いなとおもいました。
堀江さんプロデュースのグルメアプリ「テリヤキ」は収益的には大きく儲からないと思いますが(ご本人もそう公言しているかと思いますが)、「焼肉部」はマネタイズが割と短期で見えるのではと感じます。
500円のチケットを20枚買って10,000円のコストで好みの女性と出会えるのであれば、
別にいくらでも使ってもいいという人も結構いると思うので、
健全な雰囲気と良い口コミを集めるなどに重点を置いて、
女性ユーザーの獲得とアクティブ率を上げること(店舗でいうと在庫を切らさない)ができれば大成功する気がします。
アプリでも似たようなものだと「Class」という、
「学校生活のクラスをコンセプトに同い年と交流する」というコンセプトのアプリは、男性には大人気らしいですが女性ユーザーを集めるのに苦労しているようです。
(参考:女性不足で「クラス」ができない――同い年6人でクラス作る新サービス「Class」運営元が説明)
ただ、運営元の株式会社部活動の代表の七尾エレナさんは元モデルで、
モデル友達もたくさん「焼肉部」のユーザーとして登録しているらしいのでそこも強みですね。
(画像:Tech crunchより)
さあどのくらいガチャが回されるのか?
AppStoreの売上ランキングでどのくらい伸びるのか?
今後もチェックして見ていきたいと思います。