本日は株式会社Nagisaさんのインタビュー記事の後編をお送りします。
前篇はコチラ⇒
ブスが魅せた!放置ゲーアプリ「49人目の少女」は2か月で1,000万円以上稼いでいた。
後編は「SLIDE MOVIES」という動画作成アプリについて、
株式会社Nagisaの古川さん(写真右)にお話を伺いました。
「SLIDE MOVIES」はどのように企画したのでしょうか?
「RoadMovies」(※Hondaのショートムービー撮影アプリ)がちょうど流行りかけの頃に「こういうサービス良いよね」という話から始まりました。
ただ動画を作るのって面倒くさい。入れ替えたり出来ないし。そこで写真だけで動画が作成出来て、例えば旅の思い出をまとめた動画が簡単に作れたら、LINEとかでも共有されるだろうし流行るよねという話をしていました。
イメージ的には結婚式のプロフィールムービーです。動画をつくるとなった時にiMovie(※macの動画作成ソフト)などで作るのもハードルが高いと思います。
いかにユーザーが手間をかけずに、オシャレなスライドムービーを作成できるか。そうやって始まったのが、SLIDE MOVIESでした。
SLIDE MOVIESの特徴である、自動顔認識によるアニメーションの自動追加は、開発している段階でエンジニアが『自動顔認識の技術を取り入れたら面白いのでは?』と後から追加したものなんです。弊社ではディレクターだけではなくエンジニアも意見を出し合って、企画、開発を進めています。
リリースから現在までのダウンロード数はどれくらいですか?
リリース日は12/12です。ダウンロード数に関してはリリースから1ヶ月弱で30万DLを突破しました。1日1万DL以上をキープしています。また、世界展開を始め3月末までに200万DL達成を見込んでいます。
リリースから短期間でユーザーをどのように増やしたのでしょうか?
ユーザーが伸びた理由は2つあります。一つ目はリリース直後、代表の横山のFacebookでの告知と、自社アプリから誘導して1,000DLくらい増やし、そこからはTwitterやFacebookなどで広まっていったような感じです。
二つ目は『ユーザーがユーザーを呼ぶ仕組み』です。SLIDE MOVIESには最初は音楽が5曲しか入っていないんですね。それで、リリースしたタイミングがクリスマスシーズンということもあって、「Facebook、LINE、Twitterで友達にアプリを教えると、クリスマスソングなどの曲が10曲貰えますよ」という機能を入れました。
(補足:音楽を選ぼうとすると以下のポップアップが出る。)
この施策が想定通りにうまくいき、
Facebookを中心にシェアされてガンガンランキングが上昇していきました。
また、Facebookで動画がシェアされることで、「これ何のアプリで作ったの?」とユーザー間でのやり取りが生まれ、友達などの間でアプリが認知されていったのだと思います。
Facebookでのシェアが強かったんですね。
FacebookとTwitterの両方だとは思いますが、動画はFacebookのほうが相性が良いので、Facebookがちょっと多いかなという印象です。
好きなアーティストの音楽をBGMにして、写真を動画に変える魔法のアプリ 『SLIDE MOVIES』#SlideMovies http://t.co/IlaHj2iO8e
— ☞ 623 ☜ (@yaam_4) 2014, 1月 9
その後の伸びはどうでしたか?
リリースから3日ぐらいでAppStoreの総合ランキングで100位以内に入ることが出来ました。そこから1週間ぐらいは70〜80位をずっとブラブラして、クリスマスを過ぎて年末年始に入るくらいには50位くらいをキープしていました。
SLIDE MOVIESの場合は、ランキングの動き方にも特徴があって、昼間には、ブースト広告を打っているアプリに順位が押し下げられて60〜70位まで落ちるんですけど、夜中の1時になるとまた40〜50位に戻るという繰り返しでした。
今、AppStoreって大体19時、22時、1時のタイミングでランキングが更新されるのですが、夜中の1時のタイミングでは毎回順位が上がるんですよ。
この理由に関しては具体的なシーンを想像すると分かりやすいのですが、19〜22時で飲み会などが行われてスマホで写真が撮られて、帰りの電車の中でSNSにSLIDE MOVIESで作成した動画がシェアされて、それで22〜23時に友達とかが「何だこれ?私も作りたい!」って思ってアプリをダウンロードするような流れが出来ているのだと思います。
マネタイズとしては、追加の曲を買ってもらう感じですか?
今のところは秘密です(笑)弊社で溜めたノウハウを活かして、今後いろんな手法でマネタイズを行っていきます。
SLIDE MOVIESで動画をつくると重さ(容量)はどの程度になるんですか?写真がベースになっている分軽そうですが。
動画の容量は写真型で20MBぐらいです、「LINEでも送れる動画の重さ」というのをイメージとして重視してます。
ある程度容量がある動画は、Facebookには普通に上げられちゃうんですけど、LINEだと重いのが送れなくてですね、そこは意識しました。
たしかに、普通の1分くらいの動画だと200MBとかありますよね。共有がし辛い。
そうですね。容量が重いと共有もしにくいし、動画を見る側も電車の中で通信が切れてしまったりしてしまう。
ただ「写真の枚数が少ない」とか「もっと長く動画を作りたい」というユーザーからの要望はめちゃくちゃ多くて。ある程度予想はしていたんですけど。今後は長いバージョンも作れるようにしていく予定です。
若いユーザーが多そうですね。
そうですね。曲も若い層に受けるように、いま流行っているテレビ番組「テラスハウス」のような雰囲気を加味して選曲をしたり、スクリーンショットも若い女の子を意識して作りました。
あとはアプリをつくりながら、若い女の子にヒアリング調査を徹底して行いました。やっぱりユーザーに聞くのは良いと思いますね。特に若い女の子。こういうアプリ使ってる人のツイートを見るとほとんどが高校生や大学生くらいの女の子が多いので。
最初の1,000ダウンロードを集めるのに苦労している人も多いと思いますが、リリースしたての時はどのようにユーザーを集めていけばいいでしょうか?例えばFacebook上での友達も多くないとして。
やはり、どのジャンルのアプリでも当てはまると思いますけど、「ユーザーがユーザーを呼ぶ仕組み」は必須にならざるを得ないと思います。うちが出しているアプリにはどのアプリにも入っています。
ただ、ポンと共有の仕組みを隅っこに置くのではなく、こちらからユーザーに共有を促すような仕組み作りが出来ると強いと思います。
「ツイートしてくれたら音楽解放」など、最初は一部の機能をあえてクローズしておいてバズを起こす要素を入れておく、とか。
海外版もリリースされているのですね。
はい、海外版はまだ積極的に展開していませんが。
日本版と海外版でスクリーンショットを別々にして、見せ方を変えています。日本人と海外で受けるポイントが違うと思うので。
日本版は「簡単に動画がつくれる」というところ、海外版のほうでは「オートフォーカスで顔認識する」というところに焦点を当てています。
古川さんはインターン生だと聞きましたが。
はい、そうです。SLIDE MOVIESの企画やディレクションはインターン(学生)の僕が担当しています、立場は関係なく面白いアプリを作りたい人に挑戦の機会が与えられるのがNagisaの社風なんです。
ちなみに今インターンを積極的に募集しています、Nagisaで一緒に面白いアプリを作りたい学生の皆さん、エンジニア、デザイナー、ディレクター問いませんので是非一度オフィスに遊びにきてください!
Nagisaの今後の展望をお聞かせください。
2014年に1,000万DL、2015年には1億DLを目指して、様々な自社アプリを企画、開発していきます。
既存のプライベート日記アプリ『Livre(リブリ)』、スライドショー作成アプリ『SLIDE MOVIES(スライドムービーズ)』は日本での需要がかなり高いことがわかったので、本格的な世界展開の準備をしています。新作に関しても、カメラ、ユーティリティ、カジュアルゲームアプリを続々リリースしていく予定です。また新たな挑戦として、大型のゲームアプリもやります。
弊社の経営理念でもありますが、ユーザーにとって面白く、革新的で、実用性の高いサービスを提供し、ユーザーを幸せにすることを通じて、最大限のマネタイズをしていくことを今後も一貫して続けて行きます。
本日はありがとうございました。
取材協力:株式会社Nagisa
おわりに
前篇で紹介した「49人目の少女」と「SLIDE MOVIES」で共通していたのは、ユーザーにインセンティブを与えることでシェアを促進するということ、つまりユーザーが喜んでシェアしてもらう仕組みをつくるということです。
実際にこの作戦が功を奏していることからも分かるとおり、「SLIDE MOVIES」は1日に200~300くらいFacebook・Twitterでシェアされています。(データ:Yahooリアルタイム検索)
また、先日マクロミルが発表していた調査によると、新成人の若者は以下のSNSを使っているとのこと。LINEは言わずもがなですが、意外にTwitterの利用率もFacebookより高かったりするようですし、もはやインフラ。
(参照:2014年 新成人に関する調査より)
ここ2年くらいでネット上のトラフィックが、スマホをベースにソーシャル起点で流れているのをかなり明確に感じます。
写真と音楽を選ぶだけで簡単にショートムービーがつくれるアプリ。”自動顔認識”の機能がついていて人間の顔がクローズアップされて動画が生成される。画面にしたがって操作すれば2~3分で動画が出来るという意味で動画界のカップラーメン的存在。(AppStoreのみ)
ちなみに完成動画はこんな感じ(※youtubeで見つけた動画)