個人的には歴史に名を刻むレベルだと思うのですが、
かなりのインパクトを残したゲームがあります、
その名は「TOWER of MONSTER」(通称:タワモン)。
スクリーンショットを見てわかるとおり、
パズドラ系のアプリです。
イラストを見るとそれなりのゲームっぽく見えるのですが、
・奇跡的につまらないバトル時のパズル。
・iPhoneでプレイしているのにタッチの反応がなぜか悪い。
・BGMループする時のつなぎめがよくわかるという、やっつけ仕事。
という衝撃のクオリティで、
つくりあげられています。
AppStoreのレビュー平均も1.5。
2以下は相当レアだとおもいます。
終いには「限りなく0に近い1」という声も。
※AppStoreのレビュー評価には0はありません。
その他AppStoreのユーザーレビューの声。(※実話です)
・ここまでひどいとお笑い。
・しばらくやってたら病みそうになるBGM
・クソゲーを超えたもはやクソというのも勿体ないくらいのモノ
・BOSSバトル時の音楽がクラシック調で全くハラハラしない。でも癒されたので★2
もはや、
「パズドラをどうしたら改悪できるか?」
「パズドラをパクってクソゲーに改変したら、どの程度売れるのか?」
という、裏のミッションを抱えて作られたゲームなのかと妄想してしまいます。
なお筆者の個人的な感想としては、
大しておいしくない湿気たかっぱえびせんを食べ続けてしまうように、
このアプリには妙な愛着がわいてしまって、
「このアプリのゴールには一体何が待っているのだろう?」という好奇心から、
何気にアンインストールせずに何度かプレイしてしまったり、
また「攻略サイトをつくったらどのくらいの人がアクセスしてくるのだろうか?」
という、謎の知的好奇心をかきたてられています。
クソゲーを通り越して、
愛すべきクソゲー、一種の芸術といっても過言ではありません。
言葉では伝わらないと思うので、
一度DLして5分だけプレイしていただくことをオススメします。
クソゲーにブースト広告をかけると悲惨
前置きが長くなりましたが、
ここからが本題です。
マーケティング視点で非常に興味深いのが、
「タワモン」は広告費をそれなりにかけてプロモーションしているということ。
ある意味、こんなに貴重で面白いデータはないのではないでしょうか。
以下が「タワモン」の、
リリースから現在までのAppStoreのランキング推移。
山あり谷ありの、激しいランキングの動きを見せています。
これは何か?
調査した結果、ランキング上昇している日は、
おそらくファミ通Appさんの記事(恐らく記事広告)公開日と一致していますので、
ファミ通Appさんの記事の影響だと思われます。
もっとも順位が上昇している9/10に関しては、
何かしらの強烈なブーストを実施したようです。
わかりやすく図にすると以下になります。
ブーストを仕掛けたであろう9/10は、
瞬間的に、トップ無料2位、ゲーム無料2位
まで上昇していますが、
ほとんど一日程度でのランキング急降下という結果になっていて、
日帰り旅行かのごとく、元の順位に帰っていきました。
このアプリはパズドラと一緒で、広告モデルではなく
完全にアプリ内課金なわけですが、
売上ランキングのグラフをみても、
「総合無料」売上ランキングで1271位(ブースト後MAX値)。
「総合無料」売上ランキングの参考データとしては、
ベーシックさんのカジュアルゲーム「超くりひろい」は、アプリ内課金が累計20万円だそうです。
「超くりひろい」のカゴの幅が大きくなる85円のアイテム(ゲーム有利にするアイテム)は20万円分くらい売れました。「超くりひろい」は広告収益の5%くらいが有料アイテム課金。
参考:カジュアルゲームはやっぱり儲かる?知っておきたい広告マネタイズ
カジュアルゲーの、アプリ内課金累計20万円の規模でも、
「総合無料」売上ランキングで450位(MAX値)までは到達しています。
数百万円のブースト広告予算をかけた結果、
少なくとも売上20万円以下と考えると、なかなか厳しい結果だと感じます。
功績としては、
「ファミ通Appにクソゲーを出稿するとどのくらいランキングが上昇するか?」
「クソゲーをブーストして1位にすると、どうなるのか?」
という貴重なデータを残してくれたので、個人的にはありがとうと言いたいです。
「タワモン」が日帰り旅行した理由
「タワモン」が弾丸ツアーのごとく、
信じられないスピードでランキングを急激に落とした要因としては、2つ考えられます。
自然流入のDLが少なかった
そもそも「自然流入のDLが少なかった。」という可能性。
▼自然流入数が少なかった理由
-スクリーンショットを見て興味を持たなかった。
-レビュー評価が低かったのでDLを見送ったユーザーが多かった。
ユーザーが一瞬で離れた
一方で、ユーザーが一瞬で離れた。
ということも大きな理由だと思います。
▼ユーザーが離れた理由
-DLしたユーザーの多くがアンインストールした。
-クソゲーと気づき、非アクティブユーザーにすぐ変化した。
つまり、アプリの完成度が低いまま、
ブーストをかけて、ユーザーを流し込んだとしても、
一瞬で、ユーザーが離れる+ランキング順位が落ちてしまいます。
特にアクティブユーザーなどの本質的な数字を重視するようになった
(そして、今後もそういう方向に進むであろう)最近のAppStoreアルゴリズムでは、
アプリの中身が伴っていないと、
穴の開いたバケツに水を流し込むようなイメージで、
一気に予算が水の泡になってしまうと。
より細かいデータを見ていくことが必要
ブースト広告が無意味という話ではなく、
ランキング上昇により、自然流入してくるユーザーがいるわけですが、
そのユーザーをいかに、アプリをつかい続けてくれるユーザーに変えられるか、
アクティブユーザーへの転換率を上げられるか、が重要です。
この辺りは完全に、
WEBサイトのマーケティングと同じ道をたどっていると感じます。
競争の激しい分野のWEBマーケティングでは特に、
SEO・リスティング広告・バナー広告で集客する、
という集客要素の他に、
売上を最大化するため、勝ち残るために、
例えば、以下のような細かい内部要素を改善していく必要があります。
・ランディングページの成約率を上げる。
-キャッチコピーを最適化する。
-色やデザインを最適化する。
-写真や画像を最適化する。
・問い合わせフォームの離脱率を下げる。
-少ないステップで問い合わせできるようにする。
-郵便番号を入れたら住所が入力されるようにする。
-エラーの項目が有る場合は、赤文字で表示する。
・商品を継続して買ってもらう確率を上げる
-適切なタイミングでリピート促進のメールを送る。
-ユーザーが興味があるであろう商品をレコメンドする。
みたいな細かいところを、
改善していく必要があるわけです。
例えば、
8つの要素を10%だけ改善するだけでも結果は2倍変わってしまいますので、
けっしてバカになりません。。
1.1を8回かけると2.14倍になる。
1.1×1.1×1.1×1.1×1.1×1.1×1.1×1.1=2.14
アプリの場合はデータ計測できないところは悩ましいところなのですが、
プロモーションを行う前には、内部対策も改善したうえで行うのが理想です。
・アイコン最適化
・スクリーンショット最適化
・アプリストア説明文
・チュートリアル
・プッシュ通知のメッセージ・タイミング
など、
基礎的なデータの蓄積・ノウハウ化が重要になってくると思います。
計測ツールや、擬似的にABテストができるサービスなども、
今後ふえてきそうです。
まとめ
・クソゲーをブーストすると順位は上がるが一瞬で順位が下がる。
・クソゲーをブーストしても儲からない。
・クソゲーをつくったら速やかに次にいく。広告予算をかけてはいけない。
※イラストはイメージです。
公開日時:7/29 23:00・【TOWER of MONSTER攻略:第1回】前人未踏の塔最上階を目指す第一歩
公開日時:8/9 17:00
・【TOWER of MONSTER攻略:第2回】多彩なモンスターの育成に努めろ
公開日時:8/19 17:00
・【TOWER of MONSTER攻略第3回】クエストを徹底解説!
公開日時:8/26 17:00
・TOWER of MONSTER攻略第4回】イベント“椿姫の挑戦状”をピックアップ!
公開日時:9/2 17:00