「1億2000万匹のブタが出荷され、アプリ事業は黒字」ブタ育成アプリ「ようとん場」台湾でプロモーションをかけ160万ダウンロードに到達。

2014年11月12日 |
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ブタさんを育てて出荷するゲームアプリ「ようとん場」を運営している、ジェーオーイーさんのインタビューをお送りします。台湾でも人気がでていると噂を聞き、その裏側をお話いただきました。

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※株式会社ジェーオーイー 代表の石川丈さん。

「ようとん場」について。

ジェーオーイーさんについて教えてください。

石川:
元々ガラケーのコンテンツをつくっている会社です。スマホが普及してきて「このままではまずいな」ということで、スマホゲームの事業をスタートしました。

去年にだした「ようとん場」がはじめてのゲームアプリです。6名体制(開発4人、デザイン2人)のチームで、すべて内製でつくっています。

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「ようとん場」はどのくらいのダウンロードがありますか?

石川:
ダウンロード数は日本版は180万ダウンロード(iOS130万、Andoroid50万弱)です。2013年の7月にiOS版、11月にAndroid版を出しました。

いまや180万ダウンロードですが、リリース時の手応えはどうでしたか?

石川:
「ようとん場」は課金しなくても遊べるようにしているのですが、意外に課金してくれる人が多かったのには驚きましたね。広告と課金のバランスは7:3くらいなのですが。

「課金してくれる」ってことは「やり込んでいる」ってことじゃないですか。そういう意味では手応えを感じました。

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元々「ようとん場」はどのように誕生したのでしょう?

石川:
「スマホでゲームつくるぞ」ってなってから、女性社員が「ようとん場」の企画をつくってくれたんです。そこから4ヶ月くらいで開発をしました。

「女性が集まれば、男性も集まってくる」と思ったので、「女性をターゲットにしよう」というのは最初から決めていました。

広告はフッターについているものがメインでしょうか?

石川:
フッターのバナー広告がメインですね、あとウォール広告(エイトクロップス)が少し入ってるくらい。

フッター広告はSSPをつかって、nendなどいくつかのアドネットワークから収益性の高いものを表示しています。

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今振り返ってみて、「ようとん場」がロングヒットしたのは、何がうまくいったからだと感じますか?

石川:
「育成ゲーム」って閉じられた世界になっているじゃないですか、黙々と一人であそぶようなゲームが多い。

その部分は「つながりを持たせてあげる」ことで、継続して遊んでもらえるよう意識しました。ソーシャルゲームをかなり参考にしたんですよ。

例えば、どんな工夫をしたのでしょうか?

石川:
例えば、「日刊ようとん場」という新聞を毎日アプリ内で送っていて、ランキングや出荷されたブタの総数を発表したりしています。ちなみに今まで出荷されたブタの総数は1億2千万匹以上です。

すると、「なんでこんなに高い豚が出荷できるんだ?」とか「もうちょっとでランキング入りする」と自然に他のユーザーを意識しますよね。

あと日々の「出荷額の高いブタ」を育てたトップ3の人にはチケット(有料アイテム)をプレゼントしたり、インセンティブも与えています。

そうすることで、ユーザーがモチベーションを保ちやすくなっているかなとは思います。

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他に、うまくいった施策はありますか?

石川:
100万ダウンロードを記念してやった「豚肉プレゼント企画」はインパクトは出せたと思います。上位100名の人に、本物の豚肉4キロとか、ソーセージをプレゼントしたんです。

ゲーム内に登場するブタと同じ品種のブタ肉をプレゼントしたので、「ゲームで豚を出荷したら、ほんとに豚肉が返ってくる」とメディアやソーシャルで話題にしていただけました。

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ようとん場シリーズの「ぶたポン」や「かいたい場」はダウンロード数はどのぐらいですか。

石川:
「ぶたポン」は約25万ダウンロード(iOS19万、Android5万)、「かいたい場」は約40万ダウンロード(Android16万、iOSで22万)です。

ようとん場シリーズで、キャラクターや世界観を統一しているので、アプリ内で「新作がでました」と告知するだけでかなりの人が反応してくれますね。

他の関係ないアプリと比べて、シリーズのアプリは10倍くらいダウンロードされやすいと感じます。

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今6名で「スマホ事業」としては黒字になっていますか?

石川:
はい、おかげさまで。やってみて感じたのは「すべて内製でつくる」というのが重要ですね。

外注にしてしまうとコストはもちろん、開発のコントロールも必要だし、スピード感がでないんです。極論、内製できないのならアプリ事業には参入しないほうが良いかもしれない。

台湾版について。

台湾版の「ようとん場」はどうですか?

石川:
「ようとん場」の海外版(台湾&香港)は160万ダウンロード(iOS40万、Android120万)を超えています。

台湾では80%以上の端末がAndroidで、iOSは16%くらいのシェアしかないんです。実際やってみても、台湾はAndroid市場を狙うべきだと実感しましたね。

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「ようとん場」は海外版と日本版で何を変えているんでしょうか?

石川:
基本は言語しか変えていないですね。あと、海外版の広告は「AdMob」にしているくらいです。AdMobを入れておけば、どの国にだしても広告が表示されるので助かりますね。

台湾ではどんな感じでダウンロードが増えていったのでしょうか?

石川:
最初にiOS版をだしたところ、自然に火がついてランキングが伸びたんです。リリースから3ヶ月ほどたっていますが、未だに「ゲーム」のカテゴリでも10位くらいにいます。

プロモーションはまったくしていないということですか?

石川:
いえ、Android版に関しては、広告費は結構かけましたね。

結果的にGooglePlayの「新着1位」と「総合1位」を獲得できたのですが、「こんなにお金かけないと、台湾で1位とれないんだ」と言うのが感想です。

iOSが好調だったので、Androidも続けて出したところ「新着ランキング」の良いところまで入れたんです。「もう、ここまで来たらトップを狙おう」と、LINEフリーコインに出稿したりして、大きく広告費をかけた感じです。

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※「ようとん場」の台湾Android版はプロモーションも強化した結果、リリースから約3ヶ月で120万ダウンロードに到達。(データはAppAnnieより)

「台湾での広告の収益性」って日本と比べてどうですか。

石川:
おそらく、eCPMでいうと台湾は日本の半分ぐらいなのかなと思います。もしかしたらAndroidだと半分以下かもしれないですね。

「ようとん場」の場合は、たくさんのユーザーに遊んでもらえているので、収益が十分にでているという形です。

ローカライズって、言語翻訳ぐらいなら大したコストがかからないじゃないですか。それでもローカライズするアプリが少ないのはなぜなんでしょう?

石川:
なんでなんですかね、やった方が良いとは思いますよ。

やっぱりガラケーのiモード時代からの名残なのか、皆さん国内意識がどうしても高いですよね。ある意味、国内の市場が恵まれているからこそですが。

当社もガラケーでビジネスをやっていて、日本市場しか見えてなかったのですが、海外にもでてみて世界が広がりましたし、楽しいですね。

実際、ほぼゼロからスマホゲームの事業をやってみて、感想はどうですか?

石川:
今のところ、ほんとに良いことしかないんですよ。

楽しいゲームをつくれば、お客さんの満足度が上がって、広告と課金で売上に跳ね返ってくる。アンハッピーな人が生まれにくいところが、気に入っています。

営業ノルマがあって、お客さんが損するような売り方をして、アンハッピーな人が生まれる商売もあるじゃないですか。

僕も事業10年ぐらいやってるんですけど「こんな最高の事業は他にないな」というのが正直な感想です。

最後に、告知などがあればお願いします。

石川:
ジェーオーイーでは、エンジニアやデザイナーを募集していますので、ご興味ある方は是非(採用ページ)。「ようとん場シリーズ」 とのコラボなどもお声がけいただければ嬉しいです。

ようとん場(iOS/Android
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取材協力:株式会社ジェーオーイー

編集後記

「日刊ようとん場」(新聞)を送って、ソーシャルゲームっぽくしているところがおもしろかったです。

たしかに育成ゲームって1人で遊ぶものがほとんど(ツイッターで「進化したキャラをシェアする」とかくらい)なので、そこはもっと改善の余地があるのかも。

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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