アップル「リア充を爆破してはいけない。ブラックホールならOK」人気アプリ「リア充爆発しろ!」削除の真相と、作者流「バズるアプリ」のつくり方。

2015年10月15日 |
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今回は「リア充爆発しろ!」をつくったハラペコーポレーションさんを取材しました。100案からネタを選ぶ工程、アップル神による突然のアプリ削除、女子高生のクチコミの破壊力など。

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※株式会社ハラペコーポレーション 江田里美さん(沖縄の海にて)

「リア充爆発しろ!」ができるまで。

えださんは、独立前は何をされていたんですか?

もともとは、沖縄のアプリ開発会社で働いていました。「ちいさなおじさん」とかをつくっているところですね。独立したのは、ふと「外に出て自由にやってみたい」と思ったからです。

いまも沖縄にいます。沖縄って「モノづくりの環境」としてはすごく良くて。情報が少ないから、深く掘り下げることができるんですね。煮詰まったら、海まで一人散歩にいけますし。

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※えださんが前職でつくったアプリ。

アプリ「リア充爆発しろ!」について、教えていだけますか?

「リア充爆発しろ!」は、日本各地にいる「リア充」を邪魔しよう、というアプリです。3月にリリースして、おかげさまで222万ダウンロード(iOS 102万:Android 120万)になります。

企画とデザインをわたしが担当して、プログラミングとゲームバランスの調整は上原さん(「上原テトリス」「新宿ダンジョン」などの開発者)にお願いしました。

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※アプリ「リア充爆発しろ!」

「アプリの企画」はどのように出来たのでしょうか。

まず「ネタ」をたくさん出しました。100個くらいリストアップして。次に「おもしろそうだな」と思うものを、15個くらいに絞って。その内のひとつが「リア充爆発しろ!」だったんです。

そこからは、徹底的に「人に聞く」ということをやりました。大学や街を歩いている人、50人くらいに話しかけて。

もともと「女子高生にウケるアプリをつくろう」と考えていて。ただ、高校生って話を聞きやすい場所にあまりいないので、女子大生に意見を聞いて回りました。

え、それは「知らない人」に話しかけて、ってことですか。

そうです、そうです。大学生が「学食」でお昼たべているところに行って。ふつうに「すみません」って。「むっちゃ困ってるんだけど、助けてくれない?」とお願いしました。

15個の「タイトル」と「手書きアイコン」を、紙にぺらっとまとめて、「この中で興味を引くものがあれば教えてほしい」という感じですかね。「Tシャツにスリッパ」みたいな格好で。笑

この段階では、とくに「ゲーム設定」とかは決めてないんですよ。そもそも、タイトルでピンとこないのなら、人に説明できないし、流行らないと思うので。

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※イメージ図。ほかには「ねこはむかし魚だった」などがあったらしい。

なるほど。最初に「タイトル」を決めちゃう。

そう、「タイトル」だけ先に決めちゃう。あと「本当におもしろいネタ」の場合って、勝手に笑いが起こるんですよ。「ついつい語り始めてしまう」というのが、瞬発力のある良いネタです。

たとえば「ちいさなおじさん」というアプリをつくったときもそうでした。「もしココにいたら、めっちゃウケん?」「家にいたら癒されるかも」みたく、勝手に盛り上がるんですね。

今回「リア充」のときも、ある女の子は「去年のクリスマスに、友だちとケーキ食べながら、リア充爆発しろって、めっちゃ言ってた。笑」みたいな話を、10分もしゃべり続けていました。

そういう反応も見て、タイトルを「リア充爆発しろ!」に決めました。

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そもそも「リア充爆発しろ!」は、なんで「ネタ候補」に入ってたんですか。

これはですね、もともとは「わたしの経験」からきたネタだったんです。

2年前のクリスマスに、会社で仕事をしていたんですよ。それで定時になると、周りのみんなは「お疲れさまです」と、そそくさと帰っていって。「ああ、みんなリア充なんだな、くそぅ」と。

しかもその日、わたしだけ仕事が溜まっていてですね。ずっと帰れなくて…。それで、そのときの気持ちをメモに残していたんですね。「リア充ども、爆発しろーっ」って。笑

その2年前のメモを見返していて、アプリの「ネタ候補」に入れた感じです。

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※この怨念が込められたメモが、後に「リア充爆発しろ!」のアプリとなった。

App Storeで1位を獲得、そして突然の削除へ。

アプリをリリースしてから、ユーザーはどのように増えたんですか?

完全に「口コミ」じゃないですかね。とくにプロモーションはしてないですし。リアル口コミとソーシャルメディアでの口コミだと思います。

アプリ内にある「ソーシャルボタンのシェア数」では、LINEが50〜60%、あとはツイッターとFacebookが20%くらいずつ、という感じでした。

リリース10日後くらいには、AppStoreの総合1位になってますね。

そうですね。総合1位になっているときは、1日25万ダウンロードも増えていましたね。広告収入もなかなかスゴかったです。そして、アプリがリジェクト(削除)されてしまった。笑

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※「リア充爆発しろ!」AppStoreのランキング推移(AppAnnieのデータより)

「リジェクトの理由」はなんだったんですか?

そもそも「爆発」というのが、ダメだったみたいです。アップルさん的には、戦場ゲームとかならいいけど、学校や街中では「リア充」を爆発させてはいけないと。

ゲーム内での「リア充カップルを爆発する」という演出もそうですし、タイトルの「リア充爆発しろ!」の文言もダメだと言われました。

うーん、めっちゃ困りましたよね。「リア充爆発しろ!」で四文字熟語みたいなものだから。セットじゃないと、意味がないじゃないですか。

なるほど。それは「アップルに交渉してもダメだった」ってことなんですか?

そうですね。「人を爆破する」という意味じゃないよ。日本では街中のカップルに「爆発しろ!」と悔しさをぶつける言葉がありまして、みたく説明してもダメだった。

一度、爆発の表現を「どかーん」という爆発から、神様の天罰的な「カミナリ」にしたんですけど、それでも怒られちゃって。たぶん「現実的にあり得ること」はダメなんだろうなと。

おそらく「テロの影響」を考えてですよね。ちょうどピリピリしていた時期でしたし。

最終的にはどうなったのでしたっけ。

最終的には「絶滅しろ!」ですね。アプリ名を「リア充絶滅しろ!」に変更して。爆発については「ブラックホールに吸われる」という表現に変更したところ、審査が通りました。

なんか「ブラックホール」になって、余計にまがまがしくなったんですけど。表現が「現実離れ」していればオッケーなんでしょうね。だから「黒魔術」とかは大丈夫なはず。

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やっぱり「アプリが消されたとき」はショックでしたか?

それが、わりと平気で。「1位なのに消されるんだ、ウケる」とか考えていました。近くの「健康センター」のプールで泳いでいて、あがったらアプリが消えてたのを覚えています。

むしろ、周りの人たちのほうが「アプリ消えてショックだよね」と心配してくれました。お母さんも心配して、なんか美味しいパスタをつくってくれたり。

どうしてここまで拡散されたのか。

「リア充爆発しろ」という言葉に、ここまで「拡散性」があったのは、なぜだと思いますか?

女子高生にとって「あるある」だったのかなと。わたし「リア充爆発しろ!」という言葉って、もっと「2ちゃんっぽい言葉」だと思っていたんですけど。それは間違っていました。

ふつうに「リア充っぽい女子大生」たちも、キャイキャイしながら、「リア充」という言葉を使っていたんですよね。思ったより、ずっと「当たりまえ」につかわれていた。

ただこういう、1位まで一気にいくような「瞬発系」のネタは、ちょっと旬が過ぎたら「ダサイ」って言われちゃうリスクはありますよね。「芸人の一発ネタ」とかも一緒で。

どんなときに「リア充爆発しろ」って言うんですかね。

女子大生を観察していたところ、「リア充爆発しろ」がつかわれる文脈は2パターンあって。

1パターン目は「明るい自虐ネタ」です。友だち同士でしゃべっているときに、彼氏のいない女の子が「リア充爆発しろ!」って言って、内輪笑いをとるような感じ。

これは「彼氏いない自分、ウケるでしょ」という意味ですよね。それに対して「お前、一生彼氏できんよ」「はあ?いらんしwww」みたいな会話をして、キャッキャ楽しんでいる。

2パターン目は、普通の「いちゃついてんじゃねえよ」という意味。これには「自分は恋人がいません。だから恋人がほしいです」というニュアンスが含まれている。

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開発中に「時間をかけたところ」はありますか?

リア充が出現する「シチュエーション」にはすごく時間をかけました。「こんなんハゲるわ!」というくらい考えて考えて。「いかに共感できるか」「いかに笑えるか」が大事だと思うので。

たとえば「電車のカップルにイライラする」とか「学校でイチャつくカップルに腹立つ」とか、絶対に女子高生がみたことありそうな、シチュエーションにしようと。(全部で10シチュエーションある)

「ステージの順番」にも意味があるんでしょうか。

「順番」も考えましたね。最初はわかりやすくて派手な「壁ドン」。一番人気だった「オカン」は4番目にもってきて。人気のやつをなるべく前半に、地味なやつは中盤にしました。

やっぱり「小説の書き方」とかを見ていても「波」があるんですよね。最初に「ヤマ」があって、一回落ちてから、最後に向けて盛り上がっていく。ちゃんと「起承転結」があるというか。

「アナと雪の女王」って見ました? あれも最初に「ヤマ」をつくっていて。それで途中途中に「小さなヤマ」を入れているという。そういう「映画のつくりかた」とかは参考にしていますね。

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ネットユーザーが好きそうな「小ネタ」も、意図的に入れているんですか。

そうですね。これも「2ちゃんねる」のスレッドを、1日3時間くらい巡回して。それで勉強しました。「童貞は30歳で魔法使い。40歳になると妖精になれる」みたいなやつとか。

あと「独身男性のぼっちの気持ち」を知ろうと、「ぼっち」ってグーグルで検索して、ブログを見て回ったり。いかに主人公の「ぼっち君」になりきって、その気持ちに近づけるか。

最近思うのですが、こういうスマホのゲームで「求められてること」って、なんというか「ゲームとしてのおもしろさ」ではない気がします。どうでしょうか?

女性にとって、ゲームは「コミュニケーションツール」要素が強いですよね。やっぱり「女の人」と「男の人」はまったく違う生きものだ、と理解してゲームをつくらないと、ズレてきちゃう。

たとえば「女子高生」って、とにかくヒマなんですよ。お金はないけど、ヒマだからしゃべりたい。しゃべるネタを常に探している。そういう生きもの。わたしも「元女子高生」です。笑

たぶん、いまその「ネタ」として使われやすいのがスマホのアプリなんですよね。「見てこれ。ちょーウケるじゃんね?」とネタにするわけです。

女子大生とかより、女子高生のほうが、そういう「ネタ」に敏感なんですかね。

女子大生よりは、女子高生ですね。19歳の子に聞くと「高校のときは、アプリを1日1個とってたけど、大学入ってからは、1ヶ月に1個になっちゃった」と言ってましたから。

やっぱり「学校のクラス」がなくなっちゃうので、同じ人とずっといる時間が、少なくなっちゃう。そうすると「コミュニケーションツール」の必要性がなくなってくるんですね。

なるほど。

最近は「原始人」について、よく考えています。やっぱり根本的な「人間の本能」は大事だなと。男の子ってみんなゲームが好き。これは、むかしから「狩り」をしていたからなんですよね。

女の子の「コミュニケーション欲求」がつよいのは、原始時代からつづく生存本能で。そもそも、女の原始人は「コミュ力が高い人」しか生き残れなかった。

たとえば、子どもの表情をみて、体調を判断しなくちゃいけないし。集落に住んでいても「近所のいやなおばちゃん」と仲良くしなきゃいけない。

その結果として、女性の「コミュ力」や「コミュ欲求」が高くなって…と勝手に思っています。だから、いま生きてる女性は「コミュ力の高い女性の子孫」のはずです。

人類の歴史とくらべたら、インターネットが出来たのなんて、ホントつい最近のことにすぎないから。「スマホがうんぬん」とかよりも、「人間の本質」から考えるべきだなと。

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リア充爆発しろ!(iOS/Android
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取材協力:株式会社ハラペコーポレーション

編集後記

ところで、実際にブラックホールに吸い込まれたカップルは、どうなってしまうのでしょう? GIGAZINEさんの記事によると、以下のようになってしまうそうです。どういうことなんでしょうか。

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。有料マガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。【配信提携】LINEニュース【過去連載】週アスPLUS、マックピープル。アプリの取材申請はコチラのページから。
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