「ガラケー、トイレ、正露丸」メタップス海外担当者に聞く、日本のスゴさとグローバルアプリ市場

2014年06月02日 |
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本日はメタップスさんの取材記事をお送りします。シンガポール、中国、シリコンバレー、台湾などグローバルで、アプリ開発者向けビジネスを展開しているメタップスに、海外のアプリ市場に対する疑問をぶつけてきました。

割と雑談の延長っぽい内容なのですが、参考になればとおもいます。

metaps_dan_yamada_choi
(左:ダンさん、中央:山田さん:右:チョイさん) 
※チョイさんは海外拠点の統括をされている方とのこと。

グローバルのアプリ市場の最近について。

海外からの日本のアプリ市場への興味はどうですか?

山田:
海外と日本のアプリ同士をつないだりすることもあるのですが、中国企業は日本のアプリにすごく興味がある。

日本で事前登録がはじまったタイミングから、「このアプリ紹介して、中国展開したい!」というくらい熱量がある。

ダン:
最近は、欧米系や中華圏のアプリも、日本市場に配信したいというケースが増えている。アジアは欧米より熱いですね、市場としても熱量としても。

ロビオ(Angry Birds)やKing(キャンディクラッシュ)みたいに日本支社をつくるところも、これから増えてくる?

チョイ:
日本法人をつくるところも増えてくるとおもう、kingの日本支社がうまくいったら、もっと広まるかもしれない。

ダン:
去年の9月に開催したメタップスのカンファレンスで、ロビオのベッカーさんが、「アメリカなどではアングリーバードの知名度が90%以上だが、日本に関しては5割弱」と話していた。

日本は特殊なので、やはり拠点をおかないと攻略がむずかしい。

ロビオは来年にハリウッドで、アニメ映画を予定しているらしく、それを見込んで、日本での準備をするという狙いもあるよう。

ディズニーみたいに映画の宣伝と絡めてアプリをだすケースは増えてきますか?

山田:
「アナと雪の女王」のゲームは、世界で1,000万ユーザーいるみたいですね。

スマホがこれだけ普及すると、映画のプロモーションも兼ねて、アプリ単体でマネタイズもできますし、リアルビジネスの企業が、どんどんアプリを出してくるとおもいますね。

アナと雪の女王: Free Fall
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※GooglePlayだけでも1,000万DL以上だったので、おそらく数千万DL規模。

ドコモからiPhoneがでて、日本のiOSとAndroidの状況はどうですか。

山田:
ドコモからiPhoneがでたが、思ったより伸びなかった印象。iPhoneのトラフィックが伸びるのって新機種がでて1-2ヶ月で、3-4ヶ月くらいたつと、次の新iPhoneまで待つので落ち着くのですが。

肌感覚ではiPhoneがシェア逆転とまではいかなくて、国内はAndroidのほうが市場としても伸び率は堅調。

チョイ:
世界で見ても、アジア(ベトナム以外)はAndroid市場。アメリカとヨーロッパはiPhoneが強いですが。

韓国は9割以上がサムソンとLG。インドネシアは元々ブラックベリーの世界だったけど、今はAndroidが半分以上。

ダン:
海外では、iPhoneは「高すぎて買えない」という国が多い。

Androidのほうが機種が安いのと、あとクレジットカードがネック。東南アジアだとクレジットカードが無い人がおおくて、iTunesが使えない。

アジアの人たちも、どんどん課金するようになってきている?

チョイ:
そうですね、GooglePlayの世界の収益トップ10の国のなかでも、既に4つの国(日本、韓国、台湾、香港)がアジアになっている、タイとかも伸びています。

山田:
ただ、やはり所得の問題はある。

ぼくら日本人の100円が、インドネシアだと1000-3000円の価値なので、課金意欲はあるものの、回復アイテム1つで3000円と考えると、簡単には買わない。

なので、アプリ内課金ではなくてリワード広告など、アジアでは広告収益でマネタイズするほうが現実的だったりする。

ダン:
日本はフィーチャーフォン時代からコンテンツに課金することに慣れている、韓国もPCのオンラインゲームが盛んなので課金意欲が高い、そういう文化的な違いは大きい

仮に日本の市場がすごく小さかったら、日本人はもっとグローバル思考になっていた?「日本人がグローバル思考じゃない」ということではなくて、恵まれすぎていることの代償な気がする。

山田:
それはあるかも、ランキング1位をとっても100万円しか稼げない市場だったら、グローバルをターゲットにしたアプリを、みんなつくっていたかもしれない。

例えば、タイのデベロッパーは、国内でのアプリ内課金が成り立たない、まだまだ広告主も少なくて、広告も盛り上がっていない。

チョイ:
タイの「Unblock Me」というアプリは、タイ人の開発者ですが、主なトラフィックはアメリカです。

デバイスのユーザー特性に合わせていて、iPhoneアプリは有料、Androidは無料でだしている。

Androidはバナー広告やメタップスのExcangerでマネタイズしているが、収益はグローバルで数千万円の規模にはなっていますよ。

Unblock Me
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日本の開発者が海外展開するには。

日本の開発者で世界で活躍されているのは?

チョイ:
日本のコンテンツでトップクラスに成功しているのがブレイブフロンティア。アメリカ、東南アジアでも非常に調子がいい。

山田:
gumiの国光さんがスペイン大使館の講演で話していたのだが、ブレイブフロンティアは、売上の構成比率が、日本と海外で半々になってきているらしい。

日本のコンテンツでも海外で売上をあげていける可能性はある。

※gumi国光さんのFacebookより。ブレイブフロンティアの海外版は開発がエイリム、パブリッシュがgumi。

日本のアプリが世界にでるとき、パートナーと組むのと拠点を置くの、どっちがオススメ?

チョイ:
最初はパートナーと組んで、市場の温度感を試してみて、いけそうなら法人をつくるのがいい。

山田:
たとえばブレイブフロンティアの場合、日本でのリリースの2ヶ月後には、中国でコピーアプリが出てしまった。

コピーゲームの人気がでて、コピーが「本家」のようになってしまうと厳しい、それであれば、すぐに現地の企業に任せてしまって、レベニューシェア展開するという判断もあり。

ダン:
ある意味ハイリスク・ハイリターン。自社ですべてやれば成功した時にリターンが多いですし。

ロビオは60タイトルだして、ようやくグローバルでAngry Birdsがヒットしたし、クラッシュ・オブ・クランとパズドラは本来なら敵ですが、連携することでwin-winになっている。

日本のカジュアルゲームが台湾でヒットすることがあるのはなぜ?

山田:
台湾は親日国なのでそのまま遊んでくれる。日本のテイストになれているのもある。

台湾は中国語(繁体字)のマーケットなのですが、実はストアを開くと英語のアプリばかりで、日本の3年前の市場に似ている。

なぜかというと、去年の3月まではGooglePlayの課金もスタートしていなかったので、中国の企業は、台湾を狙わずにグローバルに向けてアプリをだしていたから。

ようやく去年から台湾市場が盛り上がって、中国や台湾の人たちが国内向けにコンテンツを作りはじめている。今後は、日本のアプリが何もしなくても、台湾でヒットするのは難しくなるとは思う。

日本の開発者がアジア展開したい時、まず何をしたらいいか、ローカライズ?

山田:
中途半端なローカライズなら、そのままで良いかもしれない。

台湾でシナリオのあるゲーム(RPGや恋愛シミュレーション)で繁体字にローカライズしてだすと、「こんな低いクオリティのローカライズだったら、日本語のままだしてくれ」と言われたことがある。

メタップスのリワード広告ってどうなの?

メタップスのリワード広告でうまくいった事例はある?

山田:
日本の個人開発者のRPGアプリ(Android)で、50,000ダウンロードくらいで、単月200-300万円の収益がでたことがある。

課金は入れてなくて、「アプリをダウンロードしてくれたらゲーム内でつかえる石をあげるよ」と、メタップスのリワード広告(オファーウォール型)を入れてもらっていました。

5万ダウンロードで、200~300万円てあり得るんですか?

山田:
実は1ダウンロードあたり100円以上の収益性というのは、あり得ない話ではない。
ただ、ゲームが面白くないとインセンティブが機能しないので、そこ次第ですが。

よく1ダウンロードあたり10円前後の収益って言うじゃないですか。萌え系アプリは広告単価が高くて50円とか。それが、リワードだとユーザーが広告に出ているアプリを1個DLしてくれたら、開発者に60-70円の収益がはいってくる。

メタップスのリワードのデータだと、1ユーザーが平均5-6個アプリをダウンロードしたりする。(もちろん、全ユーザーがリワードをつかうわけではない)

カジュアルゲームだったら「ゲームオーバーから復活するには、リワードでアプリをダウンロードしてね」とか?

山田:
そう、あえて体力制にして、「体力回復アイテムをリワードと引き換え」にするとか。脱出ゲームも「リワードで1ヒントあげる」とやったほうが稼げるかもしれない。

カジュアルゲームもやりようがあるとおもう、事例が少ないのでなかなか広まっていないのかなと。

リワードで「このぐらい収益があがる」っていう指標はありますか?

山田:
ソーシャルゲームの場合の指標ですが、アプリ内課金であがる収益に対して「10-30%がリワード広告の収益になる」というバランス感。

アプリ内課金で1,000万円の収益がでているアプリであれば、オファーウォール型のリワード広告を導入して得られる収益は100-300万円。CTR・CVRでいうと70-80%くらいが平均です。

あと、メリットとしてはユーザーが仮想通過(パズドラでいう魔法石とか)を手に入れやすくなるので、ゲームを長く遊んでくれる傾向にある。ポイント持っているとやっぱりアプリを消しにくい。

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※メタップスのリワードはAndroid(GooglePlay)のみ。

日本人が知らない、日本のすごいところ。

海外と日本の開発者の違いってありますか?

ダン:
コンテンツに一番こだわっているのは日本の開発者だとおもいますよ。最近は韓国のコンテンツのクオリティも高くなっている。台湾とかと比較すると、日本や韓国のほうがレベルが高い。

日本のコンテンツのレベルが高いのはなぜ?アニメやマンガもクオリティ高いけど。

山田:
スーパーファミコンのゲームとか、クリエイターが数年かけてつくったものを見て育っているので、それが基準になっているのは、ひとつあるでしょうね。

チョイ:
日本ではガラケー時代から、ワンセグやカメラがついたりしていたが、海外だと白黒の携帯から、いきなりスマホがでてきて「なにこれ?」という感じだった。

ダン:
昔アメリカに帰った時は、日本のガラケーをみんなに自慢していたんですよ。「えー、ワンセグでテレビみれるんだー!」とみんな驚いていた。

それがiPhoneがでてきて、ぜんぶ逆転されてしまったのは残念ですよね、日本が先を行っていたのに。未だに「ワンセグはすごいなあ」とおもうくらいですよ。

海外から見て、日本のすごいところは?

ダン:
とにかく日本人は「ユーザーのことを考えてつくっている」と感じる。

例えば、「日本のトイレ」はとんでもないレベルですよ。あとホカロンと正露丸、日本のブランドは信頼度がたかい。

私もアメリカに帰るときは、ホカロンたくさん持って帰ります。正露丸は「これは腹痛がなおる、奇跡の薬なんだ」ってアメリカ人に紹介してます。

チョイ:
冬にカイロを使っているのは日本だけじゃないですかね。日本人はエンドユーザーのことを深く考えている、そこは本当にすごいですよ。

それと、食べ物がおいしい。日本人の舌は世界一繊細ですね。和食のおいしさは「素材の味・新鮮さ」ですが、インド料理やタイ料理だと「スパイス」ですから。

「素材の味・新鮮さ」にこだわるのって日本特有なんですね。

ダン:
日本語って「味」を説明できる言葉が、英語の3倍くらいあるのがスゴイ。英語だとデリシャス、ベリーグッドくらいしかない。

チョイ:
日本語は「コクがある」「麺にコシがある」「ご飯のつやがでる」とかいうけど、英語では全部「おいしい」にしかならない。

スマホのコンテンツでも、日本人にはそういう強みがあるとおもうので、それを、いかにグローバルで活かして勝負できるかじゃないですかね。

取材協力:株式会社メタップス

おわりに-編集後記

「日本人が気づいてない日本のスゴさ」ってたくさんあるんだろうなと思った。正露丸、ワンセグ、トイレを褒められるとか予想できないよね。

5万ダウンロードでリワードで月200-300万円のRPGアプリの事例も驚いた、(しかもグラフィック等も決して綺麗なアプリでもないとのこと)

リワード(インセンティブ)を駆使してすごい稼いでいるアプリがあったら、話聞いてみたいですね。ゲームバランスとか、ゲームの中毒性などが重要なのだろうか。

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