楽天アプリとメルカリ、実はアクティブユーザー数に大差なし?データ解析でわかった新興フリマアプリの現在地。メタップスECセミナー

2014年09月29日 |
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本日は「スマホ✕EC勉強会」にて開催されたメタップスさんの講演(一部)をお届けします。スマホが普及してEC市場がどう動いているか、アプリストアのレビューの解析など。

「アプリコマースの市場環境とクロスデバイス時代のEC戦略」株式会社メタップスCEO 佐藤 航陽さん

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ECにもスマホ時代が到来。

メタップスについて

佐藤:
株式会社メタップスはアプリのマネタイズの事業に集中して展開をしている会社です。広告から収益化まで全部やっています。世界に8拠点ほどありアジアに集中しています。

PCからスマホ、タブレットの時代へ。

佐藤:
皆さんご存知かと思いますが、2012年の段階でPCデバイスの数を、スマホが完全に超えています。現状でいうとスマホとタブレットを合わせた数がPCの2倍ぐらいに拡大してきている。

PC時代から完全にスマホ、タブレットの時代に変わってしまいました。10代-20代前半の人は「ブラウザ、PCってなんだ?」「もうアプリとスマホしか知らない」という人たちさえいます。

PCは台数自体は微増しているのですが、出荷台数に関してはマイナスの成長率。チップやデバイスのメーカーも、生産工場をPCからスマホやウェアラブルデバイスに切り替えている状況です。

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スマホではブラウザではなくアプリ。

佐藤:
もう一点、注目しなくてはいけない点としては、今までは「PCブラウザ上でどうECサイトを提供していくか」ということを考える必要がありました。

ところがデータで見ると2013年の段階で、スマホユーザーの8割がアプリを使っていて、スマホでブラウザを起動するユーザーは20%を切り始めている。

ブラウザは「検索する場合」か「アプリ経由で開く場合」にだけ使われるようになっている。つまり、ブラウザはもうスマホユーザーにとって「入口」じゃなくなってきている。

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大手ECサイトでもスマホ経由の売上が急増。

佐藤:
これはZOZOさんや楽天さんの決算資料なのですが、特に若者向けのECをやっている企業様というのはスマホでの売上が急増しています。ZOZOさんは売上の50%はスマホ。

今の成長率でいくと、おそらく2015-6年の段階でスマホ経由の売り上げが60-70%になるんじゃないかなと読んでいます。

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ゲーム、ソーシャル、ECが次々ネイティブアプリへ。

佐藤:
スマホゲームの市場がどう盛り上がってきたかというと、まずブラウザベースのソーシャルゲームが「側アプリ」(※表だけアプリで中身はブラウザベースでつくられているアプリ)でスマホアプリに移行して、月商が数千万〜2億円ぐらいの成功例がでてきた。

その時は「まだスマホアプリなんて、ブラウザゲームやフィーチャーフォン(ガラケー)の市場から見るとゴミみたいなもの」と思われていたのですが、フルネイティブアプリの「パズドラ」がヒットして「月150-200億円稼げるぞ」となった瞬間に、市場が一気に変わってしまいました。

この流れはソーシャルでも同じです。PCベースだったFacebookやTwitterがモバイルに対応し、今ではLINEやWhatsAppのような、アプリ特化のサービスが急成長しました。

今ECの市場も似たような状況で、恐らくゲームやソーシャルと同じ流れをたどるはずです。楽天やYahoo!ショッピングのような、PCブラウザメインのサービスが徐々にネイティブアプリに移行している。そして、(PCやブラウザは捨てて)アプリに特化したネイティブアプリが急成長している。

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アプリストアのデータ解析をしてわかったこと。

大手と新興ECの差は数字ほど大きくない。

佐藤:
メタップスで解析しているデータを基に説明していきます。(以下のスライドにて)EC系の企業様を6社挙げさせて頂いています、左側がいわゆる大手EC企業のアプリ、右側が新興EC(フリル、メルカリなどアプリ特化のEC)のアプリのデータです。

まずダウンロード数では大手(左側)が圧倒的。楽天アプリは500万-1000万ダウンロード。一方で新興EC(右側)は、まだダウンロード数はそこまで大きくない。

ただ「ダウンロード数」はプロモーションをすれば増やせるので「実際ユーザーがどのぐらいアクティブか?」はこの数値からは見られません。

それではどうすればいいか、「評価数」(レビュー数)と「Google+ボタンを押された数」を見ていくことで、「ユーザーがどのくらいつかっているか」をおおよそ比較できる、この方法で調べてみました。

結果としては、もちろん楽天・ヤフオクさんのほうが「Google+ボタンの数」「評価数」ともに多いですが、実はLINE MALL・メルカリさんと、そこまで大きな差がなくなってきていることがわかる。

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ユーザーレビューの解析

佐藤:
また、アプリストアのレビューの解析をして、ユーザーがどこに満足しているかを「掛かり受け」と言われる方法でリサーチしてみました。

例えば「私はスマホのパズルゲームが好きです」という例文だったら、「私」という言葉が「好きです」に掛かっている。一方で「スマホ」は「パズルゲーム」に掛かっている。このように単語同士のつながりを解析しました。

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高評価レビューの分析結果(大手ECアプリ)

佐藤:
★5(高評価レビュー)をつけているユーザーレビューを見ていくと、実は「楽天」「ヤフオク」などのアプリにおいてはほとんど傾向が見られない。

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高評価レビューの分析結果(新興ECアプリ)

佐藤:
一方で新興ECの★5(高評価レビュー)を見ていくと明らかに特徴が見つかる。「Fril」「メルカリ」のレビューを言語解析すると「ポイント」「招待コード」「入力」という言葉が出てくる。

これは何かというと、ネイティブアプリならではのマーケティング施策なんです。こうしたマーケティングが効いて、レビュー上ではユーザーの満足度が上がっていることがわかる。

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※フリマアプリではおなじみの「友達を招待する施策」が、レビュー評価UPにつながっている。「招待コードを入力するとポイントがもらえるよ」というようなレビュー投稿が多いということ。

リコメンドアプリの分析結果。

佐藤:
ユーザーさんがどれぐらい重複しているかも分析してみました。アプリストアでは似ているアプリをリコメンドしているので、そこから全データの解析をしてみた。

楽天・ヤフオクのユーザーさんは、(グループの)経済圏が活きているのがよくわかります。楽天アプリのリコメンドには、楽天カード、楽天ポイントクラブ、楽天バンクなどが表示される(つまりユーザーが重複している)。ヤフオクにはヤフー知恵袋のアプリが表示される。

そして楽天・ヤフオクのユーザーさんは、バッテリーアプリなどが共通しているところから、同じような需要をもっていることもわかる。

また、フリマアプリでリコメンドされるアプリはかなり似通っていて、ポイントアプリ(※プロモーションで使用するアプリ)も共通している。つまりジャンル特化のアプリ同士では、ユーザーさんを取り合っている状況だとわかる。

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※GooglePlayで「類似のアイテム」としてレコメンドされるアプリはユーザー層・ニーズが似ている、というところを応用して分析をかけたということ。

まとめ

佐藤:
ECもPCブラウザよりアプリの時代。これから新規参入する場合は、ネイティブアプリファースト、完全にPC・ブラウザを捨てる、という戦略の方が有効ではないでしょうか。

取材協力:株式会社メタップス

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アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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